ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

大会等での鱗翅類保全に関する企画

日本鱗翅学会は、原則1年ごとに大会を開催します。大会の会期中には、鱗翅類の保全に関する小集会やシンポジウムが開催されることがあります。以下は過去に開催された保全関係の企画一覧になります。詳細はメールフォームからお尋ね下さい。

第50回大会(2003年、高松)
大会シンポジウム「四国のレッド種」
第52回大会(2005年、藤沢)
大会シンポジウム「南関東における蝶の盛衰の現状と今後の課題」
第55回大会(2008年、福岡)
小集会 タイワンツバメシジミの保全
世話人: 中村 康弘 (日本チョウ類保全協会)
第57回大会(2010年、東京)
大会シンポジウム「鱗翅類保全の新しい視点」
世話人: 宇野 彰 (関東)
第59回大会(2012年、松山)
小集会「里山の蝶類の保全」
世話人: 荒川 良
第60回大会(2013年、堺)
自然保護委員会小集会「保全のための放蝶に関するガイドライン-普及に向けた話題提供-」
世話人: 自然保護委員会
第9回自然保護セミナー(2013年、東京)
「第2の絶滅危惧種の増加」
主催: LSJ自然保護委員会
第61回大会(2014年、鹿児島)
自然保護委員会小集会「新たな生態系破壊の脅威 -外来種問題と害獣問題-」
世話人: 自然保護委員会
第62回大会(2015年、鳥取)
自然保護公開シンポジウム「西日本でのチョウ類の衰亡と保全 -今後の対策をどのように考えるか」
世話人: 矢後 勝也
第63回大会(2016年、湘南)
自然保護公開シンポジウム「関東地区における絶滅危惧チョウ類の最新の動向-日本鱗翅学会版日本産蝶類レッドリスト(2015年版)から-」
世話人: 自然保護委員会
第64回大会(2017年、仙台)
自然保護小集会「東北地区でのチョウ・ガ類の現状」
主催: LSJ自然保護委員会
第65回大会(2018年、松本)
自然保護小集会「信越地区(主として長野県)でのチョウ・ガ類の現状」
主催: LSJ自然保護委員会
第66回大会(2019年、大阪)
自然保護小集会「保全のシンボルとしての都道府県のチョウ」
主催: LSJ自然保護委員会
第10回自然保護セミナー(2019年、大阪)
「チョウ類の永続的保護に向けて」
主催: LSJ自然保護委員会
第1回ツシマウラボシシジミ保全シンポジウム(2021年、対馬+オンライン)
「対馬にしかいない蝶・ツシマウラボシシジミをご存じですか? --絶滅寸前の蝶との共存共栄をめざして--」
主催: LSJ自然保護委員会
共催: 対馬市
第2回ツシマウラボシシジミ保全シンポジウム(2022年、対馬+オンライン)
「対馬固有の蝶・ツシマウラボシシジミを守ろう --希少チョウと人との共存共栄を探る--」
主催: LSJ自然保護委員会
共催: 対馬市
第68回大会(2022年、東京)
自然保護小集会「続・保全のシンボルとしての都道府県のチョウ」
主催: LSJ自然保護委員会
第3回ツシマウラボシシジミ保全シンポジウム(2022年、対馬+オンライン)
「ツシマウラボシシジミを救った生息域外保全と昆虫館」
共催: 足立区・対馬市・LSJ自然保護委員会
協賛: (公財)自然保護助成基金
第69回大会(2023年、伊丹)
自然保護小集会「保全のシンボルとしての都道府県のチョウ3~最終章~」
主催: LSJ自然保護委員会
第70回大会(2024年、福岡)
自然保護小集会「九州における希少チョウ類保全の現在と展望」
主催: LSJ自然保護委員会

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。