ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

閉じる

日本鱗翅学会

第1回ツシマウラボシシジミ保全シンポジウム

2021年9月14日公開

第1回ツシマウラボシシジミ保全シンポジウム「対馬にしかいない蝶・ツシマウラボシシジミをご存じですか? --絶滅寸前の蝶との共存共栄をめざして--」

日時:
2021年9月18日(土) 14:00~16:30
内容:
ツシマウラボシシジミ保全活動に取り組む様々な主体(行政、研究者、学校、動物園、企業など)が活動や研究成果を報告して現状を紹介するとともに、この蝶を守るための取り組みについて、参加者の皆さんと一緒に考える公開シンポジウムです。
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、対馬市内の会場とオンライン(Zoomミーティング)の双方で参加できるハイフレックス型で開催いたします。島外の講演者はオンラインでの講演となります。
会場:
現地参加|対馬市交流センター3階大会議室
オンライン参加|【参加申し込みフォーム】https://pro.form-mailer.jp/lp/474b62c9236191
入場料:
無料
主催:
日本鱗翅学会自然保護委員会・対馬市
協賛:
(公財)自然保護助成基金
後援:
NPO法人日本チョウ類保全協会、(一社)MIT
お問い合わせ:
対馬市自然共生課 電話 0920-53-6111

プログラム

14:00~14:05
開会挨拶 比田 勝尚喜 (対馬市長)
趣旨説明
14:05~14:25
基調講演「最絶滅危惧種ツシマウラボシシジミの現状と課題」 矢後 勝也 (日本鱗翅学会/東京大学総合研究博物館)
14:25~14:45
「対馬の貴重な動植物に関する保全活動」 木滑 黄平 (環境省対馬自然保護官事務所)
14:45~15:05
「対馬市におけるウラボシシジミ保全の取り組み」 神宮 周作 (対馬市農林水産部 自然共生課)
15:05~15:10
休憩
15:10~15:30
「ユネスコスクール部の取り組み~チョウ食草の栽培・移植を通じた保全活動~」 長崎県立対馬高校
15:30~15:50
「動物園でのウラボシシジミ累代飼育の試み」 伊藤 雅男 (長崎バイオパーク)
15:50~16:10
「対馬の自然共生のしまづくりを目指してーヤマネコと共生する森づくりを考えようー」 吉野 元 ((一社)MIT)
16:10~16:30
総合討論
16:30
閉会挨拶

シンポジウム特別エクスカーション「ツシマウラボシシジミ観察会&食草苗の植栽体験」

日時:
2021年9月19日(日) 13:00~14:30
主催:
対馬市
場所:
対馬市上県町佐須奈
内容:
ツシマウラボシシジミの保護区においてチョウや幼虫、卵などの観察会を開催します。また、ツシマウラボシシジミの幼虫のえさとなる植物(ヌスビトハギの仲間)の苗を植栽して、保護区の環境整備活動を行います。
※ 上県行政サービスセンターに集合し、現地解散。
※ 島内在住の方に限定、18日のシンポジウム参加の方のみを対象。
※ 苗の植栽を行いますので、作業しやすい服装・靴でお越しください(軍手、スコップ等の道具は対馬市で準備します)。

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。