ミノウスバ Pryeria sinica
(マダラガ科)

半透明の翅をもつ昼飛性のマダラガ。日本では北海道から九州まで分布し、マサキ、ツルウメモドキなどのニシキギ科を食樹とする。首都圏では晩秋11月頃に成虫が見られるが、寒冷地ほど早く出現する傾向にあるようで、青森県の山地では9月下旬に発生の盛期を迎える。

食樹のマサキが生垣として植栽されることから、市街地に多く生息する。多数の卵を並べて産み付ける習性があり、幼虫は群れて生活するため、植栽のマサキの葉を食べ尽くす害虫としても知られている。しかし、こと青森県においては市街地で発生した例が知られておらず、自然度の高い山林で偶然的に採集されるばかりの稀種である。市街地への進出程度に顕著な地域差が見られることは興味深い。

撮影データ: 2017年9月24日 青森県平川市
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会の出版物

日本鱗翅学会では、会員間の鱗翅学的情報交流の場および学会内外へ向けた学術情報発信の場を提供する学会誌として、以下の2誌を定期刊行物として発行しています。

定期刊行物

『蝶と蛾』(Lepidoptera Science)

『蝶と蛾』は、日本国内や海外のチョウとガの分類、体系、進化、行動、生態など広い科学分野の研究成果を掲載する国際誌です。

62巻1号(2011年)から英語名を『Lepidoptera Science』に変更するとともに体裁をA4版2段組としましたが、雑誌の巻号と『蝶と蛾』の名称は継承し、従来どおり年に4回発行しています。

プロ・アマを問わず広範な内容の論文(英文または和文)を受け付けますので、会員の皆様からの多くの投稿をお待ちしております。

※ 2018年1月より、『蝶と蛾』は冊子体を廃止して電子出版に移行いたしました。詳しくは『蝶と蛾』68巻2号・45ページ(PDF|188KB)をご覧下さい。

『やどりが』(YADORIGA)

日本鱗翅学会の第2会誌で、現在は年4回発行されています。もともと、日本鱗翅学会の学会誌『蝶と蛾』に寄生していた連絡紙だったので、『やどりが』という名前がつきました。主に日本国内や海外の蝶の記事(解説記事、紹介記事、報文、採集記など)が掲載されますが、蛾の記事や会務報告などもあります。

最近の表紙と裏表紙は、カラーの生態写真で飾られていて、LSJ「チョウとガ」フォトコンテストの入賞作品が使われることもあります。本文中にもカラー写真(カラープレート)が掲載されることが多くなりました。

書店では販売していませんので、『やどりが』を購読したい方は本会へご入会下さい。


不定期発行の出版物

『日本鱗翅学会特別報告』

不定期発行。第6号まで出版されています。


保全に関する出版物

『日本産蝶類の衰亡と保護 (第1集)』(絶版)
『日本産蝶類の衰亡と保護 (第2集)』(絶版)
都道府県別の蝶類のレッドデータリストなどが掲載されています。
『日本産蝶類の衰亡と保護 (第3集)』(絶版)
頒価4,000円。1994年8月に大阪府立大学が行われた蝶類保護に関する国際シンポジウムの講演論文集です。全て英文です。
『日本産蝶類の衰亡と保護 (第4集)』(絶版)
頒価4,000円。1995年6月に愛知県豊田市で行われた第6回日本鱗翅学会セミナーの講演論文集です。
『日本産蝶類の衰亡と保護 (第5集)』
頒価2,000円。1993年に発行した『日本産蝶類の衰亡と保護 第2集』『日本産蝶類県別レッドデータリスト』の改訂版とセミナーの講演要旨集です。本会の販売分は完売しましたが、レッドリストをPDFで公開しております。
日本産チョウ類の衰亡と保護 (第6集)』
蝶・蛾類の日本における生息の現状や実践的な保護活動の事例報告、2009年10月に大阪で開催した自然保護セミナーの内容、日本鱗翅学会版チョウ類のレッドリスト(三訂版)などが掲載されています。本書のご購入は、リンク先の案内(PDF|3.7MB)に従ってご購入下さい。
日本産チョウ類の衰亡と保護 (第7集)』
頒価3,500円。蝶・蛾類の日本における生息の現状や実践的な保護活動の事例報告など、2013年10月に東京で開催した自然保護セミナーの内容が掲載されています。また、四訂版となる最新の都道府県別蝶類レッドリストでは、初めて全47都道府県の情報を揃えることができました。本書のご購入は、リンク先の案内(PDF|3.7MB)に従ってご購入下さい。
『蝶の飛ぶ街 第1集』(絶版)
第1回・チョウとともに住む街づくり-アイデアコンクールの優秀作品集です。
『蝶の飛ぶ街 第2集』(絶版)
頒価1,500円。第2回・チョウとともに住む街づくり-アイデアコンクールの優秀作品集です。
『恩原高原のウスイロヒョウモンモドキ-その調査と保護活動(1)』
『恩原高原のウスイロヒョウモンモドキ-その調査と保護活動(2)』
日本鱗翅学会自然保護委員会の「岡山県恩原高原ウスイロヒョウモンモドキ特別委員会」の報告書です。
注) この報告書は日本鱗翅学会の出版物ではありませんが、関連出版物ですので紹介しています。

日本鱗翅学会

〒113-0001
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アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。