モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

2023年度のイベント予定

2023年8月13日公開

2023年度の大会、支部例会及び各種イベントの予定を公開します。奮ってご参加下さい。

学会大会

第69回大会
日時: 2022年10月21日(土)~10月22日(日)
会場: 東リいたみホール(兵庫県伊丹市)

東北支部

2023年度第10回東北支部例会
日時: 2023年9月2日(土) 15:00~17:00(受付開始: 午後1時30分から)
会場: 宮城県市町村職員共済組合保養所 パレス松洲 (宮城県松島町高城字浜38)
東北インセクトフォーラム宮城大会 鱗翅目分科会として開催

関東支部

関東支部 2023「秋のつどい」
日時: 2023年10月7日(土) 10:00~17:00
会場: 東京大学理学部2号館4F大講堂(文京区本郷7-3-1)

信越支部

予定が分かり次第公開いたします。

東海支部

2023年総会及び第184回例会
日時: 2023年12月2日(土) 13:00~17:00
会場: 名城大学共通講義棟北館N-104講義室(名古屋市天白区塩釜口1-501)

近畿支部

予定が分かり次第公開いたします。

中国支部

第23回中国支部例会
日時: 2022年11月11日(土) 13:00~17:00
会場: TKPガーデンシティPREMIUM広島駅北口 (広島市東区二葉の里3-5-7 GRANODE広島 3階)

四国支部

予定が分かり次第公開いたします。

九州支部

予定が分かり次第公開いたします。

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。