ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会の歴史

昭和20年(1945)
9月1日 創立(京都)
昭和24年(1949)
11月30日 会誌『蝶と蛾』発行
昭和30年(1955)
5月15日 第2会誌『やどりが』発行
昭和36年(1961)
台湾調査隊派遣。以降、ヒマラヤ蝶蛾調査隊派遣[昭和38年(1963)]、東南アジア蝶蛾調査隊(マレーシア)派遣[昭和39年(1964)]、台湾蝶類生態調査隊派遣[昭和40年(1965)]
昭和46年(1971)
創立25周年記念論文集発行
昭和63年(1988)
『蝶類学の最近の進歩』白水隆名誉会長記念論文発行
平成元年(1989)
『日本産蝶類の衰亡と保護 第1集(やどりが特別号)』発行。以降、現在までに第5集発行済。
平成2年(1990)
第1回日本鱗翅学会セミナー「蝶類の保護・・・自然保護の一環として」を大阪市で開催。以降、浦和市・松本市・仙台市・鹿児島市にて平成6年(1994)まで合計5回開催。
平成6年(1994)
日本鱗翅学会50周年国際シンポジウムを大阪府立大学で開催。
平成7年(1995)
自然史学会連合に加盟。
平成8年(1996)
ギフチョウフォーラムを岐阜市長良川国際会議場で開催。
平成11年(1999)
日本鱗翅学会アサギマダラプロジェクト発足。
自然保護委員会による第一回「チョウとガ」フォトコンテスト開催、以来4回にわたって実施。
平成14年(2002)
日本鱗翅学会公式ウェブサイトの公開。
平成17年(2005)
アサギマダラ・プロジェクト・国際シンポジウムの開催。
平成22年(2010)
日本昆虫科学連合発足、本学会も加盟。
平成24年(2012)
東北支部設立総会の開催。
平成30年(2018)
『蝶と蛾』誌の完全電子化を実施。
ウェブサイトのリニューアル公開。

参考リンク

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。