モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)
モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。
観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。
このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。
チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。
撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司
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『蝶と蛾』編集委員会規程 (2010年1月1日施行)
- 第1条 会則第38条により設置された『蝶と蛾』編集委員会(以下本委員会)を本規程により運営する.
- 第2条 (構成および組織)
- 1. 本委員会には委員長1名,幹事1または2名,委員複数名を置く.また,必要に応じ幹事補助を置くことができる.
- 2. 委員長は会則第40条により会長が委嘱する.
- 3. 幹事および委員は,理事会の承認を得て,委員長が委嘱する.
- 4. 委員長,幹事,および必要に応じ幹事補佐をもって事務局を構成する.
- 5. 以上の役職間の兼務は認められる.
- 6. 委員長,幹事,委員,幹事の任期は会則第16条の役員と同様とし,会則第16~18条を準用する.ただし,重任を妨げない.
- 7. 委員長はすべての人事を理事会に報告する.
- 第3条 (編集業務)
- 1. 委員長は原稿の送付を受け,必要があれば委員と協議の上,2名以上のレフェリーを選定して原稿の査読を依頼する.
- 2. 原稿の採否は,レフェリーの意見を参考にして委員長が決定する.ただし,必要があれば委員に意見を求めることができる.
- 3. 本条1~2項の任を果たすのに不適切な場合は,委員の一人がレフェリーを選定する.
- 4. 幹事は,著者ならびに印刷所との連絡を担当する.
- 5. 活動状況ならびに活動の結果は評議員会において報告し,また「やどりが」誌上で直接会員に報告する.
- 第4条 (費用) 『蝶と蛾』の編集・発行に関わる経費は一般会計により処理する.
- 第5条 (施行および改廃)
- 1. 本規程は2010年1月1日から施行する.
- 2. 本規程の改廃は会則第34条の5による.

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