モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

2025年度 日本鱗翅学会九州支部/九州・沖縄昆虫研究会合同大会プログラム

2025年12月 5日公開

今年度の日本鱗翅学会九州支部大会(九州・沖縄昆虫研究会との合同大会)のプログラムが確定しましたのでご連絡いたします。直前の参加登録等ご質問がある方は、屋宜(yagi.sadahisaagr.kyushu-u.ac.jp)までお問い合わせよろしくお願いいたします。

大会概要

日時:
2025年12月14日(日)
会場:
九州大学伊都キャンパス(〒819-0395 福岡市西区元岡744番地)ウエスト5号館226講義室 および Zoom配信

大会スケジュール

12月14日(日) ※ 発表者に下線が引かれている場合はオンライン発表
  • 12:00~
    受付開始・試写(画面共有等の確認)
    13:00~13:10
    九州・沖縄昆虫研究会総会・日本鱗翅学会九州支部総会
    13:10~14:10
    特別講演「「かたち」を測るとわかること: 形態的多様性と制約を解き明かす」
    野下 浩司 (九州大院・理)
    14:10~14:20
    休憩
  •  
  • 14:20~18:40 一般講演
    14:20~14:35
    小笠原諸島産Cosmopterix属(カザリバガ科: カザリバガ亜科)の分類学的研究
    重松 貴樹(九州大・農)・屋宜 禎央(九州大院・農)
    14:35~14:50
    九州産ヒメミズギワヨツメハネカクシ属Lesteva(ハネカクシ科: ヨツメハネカクシ亜科)の分類
    奥村 哲偲(九州大・農)・丸山 宗利(九大博)
    14:50~15:05
    福岡市街で発生したムツボシキジラミ属の不明種に関する分類学的及び生態学的研究
    坂東 駿人(九州大・農)・井上 広光(農研機構・植物防疫研究部門)・紙谷 聡志(九州大院・農)
    15:05~15:20
    マダラヨコバイの産卵習性に関する研究
    大片 智裕(九州大院・生資環)・三田 敏治(九州大院・農)
    15:20~15:35
    Trissolcus属(ハチ目: タマゴクロバチ科)の性比変動に関する考察
    松元 音旺(九州大院・地社)・松尾 和典(九州大院・比文)
    15:35~15:45
    休憩
    15:45~16:00
    Neocladia属(ハチ目: トビコバチ科)の日本からの新記録
    市川 裕咲(九州大院・地社)・東浦 祥光(山口農林総技セ)・竹松 葉子(山口大院・創成科学)・松尾 和典(九州大院・比文)
    16:00~16:15
    待機型寄生を行うセスジハリバエの幼虫の行動と寄主適合性
    野間 将義(九州大院・地社)・舘 卓司(九州大院・比文)・新谷 喜紀(南九州大・環境園芸)
    16:15~16:30
    異なる水分条件下におけるタマバエ幼虫の跳躍行動
    冨山 紗代・徳田 誠・Ayman Khamis Elsayed (佐賀大・農)
    16:30~16:45
    日本列島のコオイムシの体(卵)サイズに与える温度の影響
    大浦 ひなた1・松本 弥優2・原 優梨亜2・大庭 伸也1.2(1長崎大院・総合生産科学, 2長崎大・教育)
    16:45~17:00
    長崎県五島列島福江島おけるカブトムシの体サイズの年次変動および性的二型について
    普天間 ちおり(長崎大学・総合生産)・小島 渉(山口大・理)・大庭 伸也(長崎大・教育・総合生産)
    17:00~17:15
    ラミーカミキリにおける逆ベルクマンの法則の適用性
    室 知里(南九州大・環境園芸)・宮原 亮平(英真学園高)・田島 潤也(峯田造園)・新谷 喜紀(南九州大・環境園芸)
    17:15~17:25
    休憩
    17:25~17:40
    アカヒゲホソミドリカスミカメの母性誘導の休眠コストについて
    綱川 乃愛・新谷 喜紀(南九州大・環境園芸)
    17:40~17:55
    ウメエダシャクの生活史調節機構
    河野 一心・新谷 喜紀(南九州大・環境園芸)
    17:55~18:10
    ツマジロクサヨトウによるキク科雑草の代替寄主利用の検証
    樋口 彩乃・小森 崇聖・新谷 喜紀(南九州大・環境園芸)
    18:10~18:25
    ツマジロクサヨトウの土着卵寄生蜂Telenomus remusの生活史
    小森 崇聖・新谷 喜紀(南九州大院・園芸)
    18:25~18:40
    二次寄生蜂の大量飼育システムの構築に向けたタバコアオムシチビアメバチの単寄生蜂の生理生態の解明
    新谷 喜紀・小森 崇聖(南九州大院・園芸)

  • 18:40~ 閉会の辞

参加者の注意事項

  • 1) 12月14日(日)は12:00から受付開始しております。時間に余裕を持ってご参加ください。
  • 2) 前日に参加URL等がメールで届かない場合、参加登録が上手くできていないか、登録したメールアドレスに間違いがあると思われますので、屋宜(yagi.sadahisaagr.kyushu-u.ac.jp)までご連絡いただきますようよろしくお願いいたします。
  • 3) オンライン参加者は、質疑の際以外はマイクをミュート(消音)に設定してください。
  • 4) 質疑は、音声による質疑の他に、チャットによる質問も受け付けます。ただし、質疑時間の制約上、口頭での質問を優先させることもありますので、ご了承ください。
  • 5) 発表者の許可がない限り、受信映像や発表資料の保存(画面キャプチャーを含む)、録音、再配布を禁じます。
  • 6) 誹謗中傷などの迷惑行為はしないでください。
  • 7) 参加者用のリンクを他者には教えないでください。

大会事務局

大会長: 紙谷 聡志

 E-mail:kamitaniagr.kyushu-u.ac.jp

事務局:

 三田 敏治 E-mail:t3mitaagr.kyushu-u.ac.jp

 屋宜 禎央 E-mail:yagi.sadahisaagr.kyushu-u.ac.jp

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。