ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会 チョウとガ フォトコンテスト2024【結果発表】

2025年3月20日公開

「日本鱗翅学会 チョウとガ フォトコンテスト2024」として、会員外も含めた皆様から「チョウとガの不思議な生態」をテーマとした写真を公募いたしましたが、全国から一般の部に32作品、学生の部に7作品のご応募を頂きました。誠に有難うございました。

プロ写真家による審査により、ご応募いただいた39作品の中から、「一般の部」と「学生の部」の2部門で、次のとおり入賞者を決定いたしました。全体の作品数は前年より増加し、審査員の先生からは「今年もレベルが高かった」との評を頂いております通り、皆様が苦労して撮られた素晴らしい作品が揃いました。

なお、入賞作品は、今後日本鱗翅学会ウェブサイトおよび日本鱗翅学会会誌「やどりが」誌上で発表させて頂きました。

2025/3/19 日本鱗翅学会フォトコンテスト事務局

入賞作品

一般の部

特選
齋藤 大郎 『スジグロカバマダラの黒化異常個体型』
吉村 久貴 『蜂雀の衝突回避』
準特選
岸村 高洋 『ルビーの雫』
立岩 幸雄 『ギフチョウの舞踏会』
平井 規央 『イケマにトラップされたヒメキマダラヒカゲ』
山本 卓司 『断固拒否!!』
入選
稲谷 康行 『交尾中のオオゴマシジミ』
佐藤 伸一 『産卵した卵を守る母蝶』
鈴木 とき子 『ミヤマモンキチョウの産卵』
中本 満康 『仲良く吸蜜』
福元 みつ子 『ウスキヌガサダケから離れないイシガケチョウ』
不破 崇公 『残暑』
安川 憲 『リュウキュウアサギマダラの生態』

学生の部

グランプリ
福田 琳之介『ヒメシロチョウの求愛』
入選
篠田 奈菜子 『とても美しいジャコウアゲハの世界』
久井 花恋 『オオムラサキの不器用な擬態』
山本 真那 『世界に一つだけの花』

※ 掲載はアイウエオ順です

入賞作品はこちらからご覧下さい。

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。