ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

蝶と蛾 76(1)(電子版)発行のお知らせ

2025年2月 6日公開

蝶と蛾 Vol.76 No.1 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが283に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2025年3月31日までは旧パスワード、2025年4月1日からは新パスワードをご使用ください。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol. 76 No. 1

    • Discovery of Crypsithyris efflexa (Xiao & Li) (Lepidoptera, Tineidae) in Japan.
    • Jinhyeong PARK, Sadahisa YAGI, Toshiya HIROWATARI
    • ハイマダラヒロズコガ(新称)(チョウ目, ヒロズコガ科)の日本からの発見
    • 朴 鎮亨, 屋宜 禎央, 広渡 俊哉
    • ページ: 1-3
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_1
    • The larval morphology and ecology of three species of Hadennia (Noctuidae, Herminiinae).
    • Shintaro FUNAKOSHI
    • Hadennia(ヤガ科, クルマアツバ亜科)3種幼虫の形態, 食樹枯葉の範囲, 岐阜県における分布と生態
    • 船越 進太郎
    • ページ: 5-10
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_5
    • Overview of the family Stathmopodidae (Gelechioidea) in Japan.
    • Takeshi TERADA
    • 日本産ニセマイコガ科の現状
    • 寺田 剛
    • ページ: 11-23
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_11
    • Description of female Epermenia uedai Kuroko & Gaedike, 2006 (Epermeniidae) with the record of the host plant.
    • Sadahisa YAGI, Ikumi KAWASHIMA
    • ニセトベラササベリガ(ササベリガ科)のメスの記載および寄主植物
    • 屋宜 禎央, 川島 育海
    • ページ: 25-30
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_25
    • Discrimination of larvae of the tomato leaf miner, Tuta absoluta, from other gelechiid larvae attacking solanaceous plants in Japan (Lepidoptera: Gelechiidae).
    • Daisuke SAKAI, Yoshitaka SAKAMAKI
    • ナス科を加害する日本産キバガ科とトマトキバガの幼虫における識別(鱗翅目: キバガ科)
    • 酒井 大輔, 坂巻 祥孝
    • ページ: 31-41
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_31
    • Record of Grapholita hyalitis (Meyrick) (Tortricidae) from Shimane Prefecture, Honshu, Japan.
    • Rinsei KOYAMA, Usun SHIMIZU-KAYA, Yoshitsugu NASU
    • 本州(島根県)におけるスキバヒメハマキGrapholita hyalitis (Meyrick, 1909)の記録
    • 小山 凜斉, 清水 加耶, 那須 義次
    • ページ: 43-44
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.76.1_43

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。