ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

蝶と蛾 75(3/4)(電子版)発行のお知らせ

2024年11月21日公開

蝶と蛾 Vol.75 No.3/4 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが279に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2024年3月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol. 75 No. 3/4

    • First record of Archilobesia formosana Diakonoff, 1973 (Tortricidae: Olethreutinae) from Japan, along with its first confirmed host plant.
    • Ikumi KAWASHIMA, Yoshitsugu NASU
    • エグリスジヒメハマキ(新称) Archilobesia formosana (ハマキガ科: ヒメハマキガ亜科)の日本初記録および寄主植物の解明
    • 川島 育海, 那須 義次
    • ページ: 81-84
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_81
    • Descriptions of the larva and pupa of Hedya anaplecta (Meyrick) (Lepidoptera, Tortricidae, Olethreutinae).
    • Yoshitsugu NASU
    • タテスジヒメハマキの幼生期の記載
    • 那須 義次
    • ページ: 85-89
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_85
    • Neotype designation of Neptis iwasei setoensis Fukuda & Minotani, 2000 (Nymphalidae).
    • Haruo FUKUDA
    • ホシミスジ瀬戸内亜種のネオタイプ指定について
    • 福田 晴男
    • ページ: 91-92
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_91
    • Numerical evaluation of changes in wing color in the painted lady butterfly (Vanessa cardui Linnaeus: Lepidoptera, Nymphalidae).
    • Hikaru SUZUKI
    • ヒメアカタテハ翅色変化の数値による評価
    • 鈴木 光
    • ページ: 93-108
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_93
    • Discovery of a new species of the genus Nemophora Hoffmannsegg (Lepidoptera, Adelidae) from the foot of Mt. Takao, Tokyo.
    • Toshiya HIROWATARI, Ken-ichi ITO, Jinhyeong PARK, Sadahisa YAGI
    • 東京都高尾山麓で発見されたウスベニヒゲナガ属の1新種(鱗翅目,ヒゲナガガ科)
    • 広渡 俊哉, 伊藤 健一, 朴 鎮亨, 屋宜 禎央
    • ページ: 109-119
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_109
新記録ノート|Note on New Record
    • New host plant records for Coleophora serinipennella (Lepidoptera: Coleophoridae) and Baris scolopacea (Coleoptera: Curculionidae) with notes on their gall induction on Atriplex patens (Amaranthaceae).
    • Satoshi YOSHIDA, Makoto TOKUDA
    • アカザフシガ(鱗翅目: ツツミノガ科)とマダラヒメゾウムシ(甲虫目: ゾウムシ科)の新寄主記録およびホソバハマアカザへの虫えい形成
    • 吉田 慧, 徳田 誠
    • ページ: 121-124
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_121
    • A new species of the genus Chionodes from Japan (Lepidoptera, Gelechiidae, Gelechiinae).
    • Tatsuya UEDA, Yoshitsugu NASU
    • Chionodes属の日本からの1新種記載(鱗翅目,キバガ科)
    • 上田 達也, 那須 義次
    • ページ: 125-127
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_125
    • Type locality and new host record for Depressaria spectrocentra Meyrick, 1935 (Lepidoptera: Depressariidae).
    • Hazumu ARASHIMA, Sadahisa YAGI, Toshiya HIROWATARI
    • チャグロマダラヒラタマルハキバガDepressaria spectrocentra Meyrick, 1935 (チョウ目: ヒラタマルハキバガ科)の正確なタイプ産地の情報および新寄主記録について
    • 荒島 彈, 屋宜 禎央, 広渡 俊哉
    • ページ: 129-133
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_129
    • Morphological analysis of the females and type specimens of two species of Japanese high brown fritillaries, Argynnis (Fabriciana).
    • Yasuhiro ODA
    • ウラギンヒョウモン(ArgynnisFabriciana亜属)2種♀とタイプ標本の形態比較分析
    • 小田 康弘
    • ページ: 135-153
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.3-4_135

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。