ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

閉じる

日本鱗翅学会

蝶と蛾 75(2)(電子版)発行のお知らせ

2024年8月 9日公開

蝶と蛾 Vol.75 No.2 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが279に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2024年3月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol. 75 No. 2

    • Some micromoths collected in the subalpine zone of the northern Akaishi Mountains, Yamanashi Pref., Japan.
    • Mao KOBAYASHI, Yoshitsugu NASU
    • 赤石山脈北部の亜高山帯で採集された小蛾類
    • 小林 真大, 那須 義次
    • ページ: 31-35
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_31
    • Re-evaluation of the type locality of Fabriciana taigetana Reuss, 1922 (Lepidoptera, Nymphalidae).
    • Yasuhiro ODA
    • Fabriciana taigetana Reuss, 1922 (タテハチョウ科)のタイプ産地の再評価
    • 小田 康弘
    • ページ: 37-48
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_37
    • Seasonal variations in emergence of the Chestnut Tiger Butterfly, Parantica sita niphonica (Moore) (Lepidoptera: Nymphalidae: Danainae) on Mt. Takatsuka, Minamiboso-City, Chiba Prefecture, Japan.
    • Satohiko ZENYOJI
    • 千葉県南房総市高塚山におけるアサギマダラの発生経過
    • 善養寺 聡彦
    • ページ: 49-60
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_49
新記録ノート|Note on New Record
    • The larva of Metrernis sp. (Tortricidae, Chlidanotinae) fed on the fruits of Symplocos sawafutagi Nagam. (Symplocaceae).
    • Kota SAKAGAMI, Yoshitsugu NASU
    • サワフタギの実から羽化したマエジロマダラハマキMetrernis sp. (ハマキガ科,マダラハマキガ亜科)
    • 阪上 洸多, 那須 義次
    • ページ: 61-63
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_61
    • First record of Agonopterix gibbosa Zhu & Wang, 2023 (Lepidoptera: Depressariidae) from Japan and description of the female.
    • Hazumu ARASHIMA, Sadahisa YAGI, Toshiya HIROWATARI
    • Agonopterix gibbosa Zhu & Wang, 2023 (チョウ目: ヒラタマルハキバガ科)の日本からの初記録とメスの記載
    • 荒島 彈, 屋宜 禎央, 広渡 俊哉
    • ページ: 65-70
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_65
    • Potential for range expansion of the cycad blue butterfly, Luthrodes pandava, in Japan.
    • Tatsuo OHTSU, Minoru ISHII, Takeshi SUZUKI, Shouhei UEDA, Norio HIRAI
    • 日本におけるクロマダラソテツシジミの定着可能性
    • 大津 建大, 石井 実, 鈴木 丈詞, 上田 昇平, 平井 規央
    • ページ: 71-80
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.75.2_71

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。