ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

2024年度昆虫DNA研究会第20回研究集会のご案内

2024年5月19日公開

6月1・2日に東京大学(本郷)で開催される昆虫DNA研究会集会につきまして、全てのプログラムが決まりましたので再度お知らせ致します。参加登録の申し込み期間を5月26日まで延長しました。会員・非会員は問いません。特に懇親会申し込みは規定人数に到達次第締め切りとなっておりますため、お早めにお申し込みください。

2024年度昆虫DNA研究会第20回研究集会のご案内

主催:
昆虫DNA研究会
後援:
日本昆虫学会・日本鱗翅学会

日程等

日程:
2024年6月1日(土)・2日(日)
集会会場:
東京大学本郷キャンパス理学部2号館4F大講堂

プログラム概要

6月1日(土)
11:30~12:20
役員会議
12:20~
受付開始
13:00~15:30 シンポジウム1「固有種の宝庫・小笠原における昆虫と植物の種分化と適応放散」
小笠原諸島の昆虫相の特徴~その魅力と危機~|岸本 年郎 (ふじのくにミュージアム)
小笠原諸島の植物進化: ゲノミクスから見たムラサキシキブ属とタブノキ属の種分化|鈴木 節子 (森林総研)
小笠原諸島で独自の進化を遂げた潜葉性昆虫: ホソガ科を例に|大島 一正 (京府大・院生命環境)
小笠原諸島における独自の花の進化と送粉者との相互作用|川北 篤 (東大・院理)
15:45~16:45 一般講演
シリアゲムシ目で初めて確認された翅原基の発生様式について|新津 修平 (都立大/国際基督教大/東大・総研博)ほか
旧北区におけるProctotrupinae亜科(ハチ目:シリボソクロバチ科)の系統関係と産卵管鞘|阿部 純大 (東大・総研博)・三田 敏治 (九大・院農)
ヤマウラギンヒョウモンの学名について|小田 康弘 (日本鱗翅学会)
酸性河川に適応したナガレトビケラに関する諸問題|倉西 良一 (神奈川工科大)
17:30~19:30
懇親会
6月2日(日)
10:00~11:30 一般講演
遺伝子・形態解析によるフタオチョウ奄美個体群の起源推定、日本個体群の分類学的再検討および統計学的手法を用いた生息適地予測|牧田 習 (東大・院農)ほか
日本に生息する沿岸性ウミアメンボ類2種(Halobates属)の系統地理|朝鍋 遥 (東大・院総合文化)ほか
日本列島におけるAsiopodabrus属(甲虫目ジョウカイボン科)の種多様化プロセス|中村 涼 (東大・院農)ほか
小笠原諸島産ワラジムシ亜目の遺伝的固有性について|唐沢 重考 (鳥取大・農)ほか
日本列島の昆虫類における生物系統地理研究|竹中 將起・東城 幸治 (信州大・理)
Integrative approaches to test the impacts of different factors structuring genetic diversity: Insights from co-distributed fern-spore-feeding micro Lepidoptera species|Zong-Yu Shen (Academia Sinica, Taiwan)ほか
11:30~13:30
昼休憩
※ 東京大学総合研究博物館の展示見学(バックヤードツアーもあります)
13:30~14:00
総会・大澤賞授与式
14:00~16:00 シンポジウム2「チョウ類の擬態・食性進化に関する最新研究: 深層学習とゲノム解析の可能性」
深層学習を用いたチョウ類斑紋における擬態形質の定量的解析|網野 海 (東京大学)
アゲハチョウ類の擬態形質の分子メカニズムと進化|古俣 慎也 (東京工業大学)
ゲノムで紐解くシロチョウの食草適応機構|岡村 悠 (東京大学)
16:00
閉会

参加について

参加申し込み

開催は対面のみで、ご参加申し込みの締め切りは5月26日(日)まで延長しました。会員・非会員は問いません。お名前、ご所属(ある場合)、連絡先(メールアドレス等)、懇親会の出欠を下記の方法でお知らせ下さい。今回の会場周辺にはお食事処やコンビニが多いため、お弁当の予約・販売は取り扱いませんのでご了承下さい。

参加の申し込み先

下記のいずれかの方法でお願い致します。

  • 1. 登録フォームから必要事項を入力、送信。回答のコピーが指定したアドレスにメールで送信されます。万が一届かない場合は、文末の問い合わせ先までご連絡ください。
  • 2. Eメール: myagoum.u-tokyo.ac.jp(世話人・矢後勝也)に連絡

アクセス

東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目駅」徒歩3分/都営大江戸線「本郷三丁目駅」徒歩1分 。集会会場(東京大学理学部2号館)へは東大懐徳門(かいとくもん)から入るのが便利です。懐徳門を入り、すぐ左側の建物です。

駐車場はございませんが、周辺にコインパーキングがございますので、そちらをご利用下さい。

その他の集会に関する問い合わせ先

矢後 勝也(東京大学総合研究博物館)

E-mail:myagoum.u-tokyo.ac.jp
電話(研究室直通):03-5841-8455

矢後 勝也 (東京大学総合研究博物館)

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。