ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

群馬県天然記念物 ヒメギフチョウ保全推進のお願い

2023年7月25日公開

赤城山に隔離分布する貴重なヒメギフチョウ個体群は群馬県の天然記念物に指定されていますが、近年、主にシカ食害により急激に減少していることから、これを保全する団体「赤城姫を愛する集まり」が早急な保全対策を群馬県内の関連機関に要望することとなりました。

そこで本学会は、群馬県知事の山本一太氏、群馬県議会議長の安孫子哲氏、自民党群馬県支部連合会会長の小渕優子氏と同会幹事長の井下恭伸氏、渋川市長の高木勉氏、渋川市教育委員会教育長の中沢守氏に宛てて、「赤城姫を愛する集まり」が要請したい防鹿柵設置や累代飼育・系統保存等の保全活動に関する推薦状を2023年7月6日に提出しました。

矢後 勝也 (自然保護委員長)

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。