ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会 チョウとガ フォトコンテスト2022【結果発表】

2023年1月17日公開

「日本鱗翅学会 チョウとガ フォトコンテスト2022」として、会員外も含めた皆様から「チョウとガの不思議な世界」をテーマとした写真を公募いたしましたが、全国から一般の部に47作品(組写真も含む全54点)、学生の部に10作品のご応募を頂きました。誠に有難うございました。

プロ写真家2名による一次審査で一般の部を上位20作品に絞らせて頂き、二次審査では日本鱗翅学会の理事・評議員の21名の方々にも審査して頂き、その評価点も加味して総合的に入賞者を選考させて頂きました。 このような審査により、ご応募頂いた57作品の中から、「一般の部」と「学生の部」の2部門で、一覧表のとおり入賞者を決定いたしました。

今年も、チョウとガ フォトコンテスト2023を開催予定ですので、今回入賞された方や残念ながら入賞されなかった方々も含め、さらに多くの方々からのご応募を期待いたします。

なお、入賞作品は、今後日本鱗翅学会ウェブサイトおよび日本鱗翅学会会誌「やどりが」誌上で発表させて頂く予定です。

2023/1/17 日本鱗翅学会フォトコンテスト事務局

入賞作品

一般の部

グランプリ
佐藤 伸一『アリと共に生きる』
特選
西嶋 信夫『フチグロトゲエダシャク雄飛来』
成田 徹『卍どもえ飛翔』
準特選
藤本 徹哉『緋縅の春』
後藤 仁『おしっこ』
松田 陽二『晩夏の営み』
山本 卓司『コロナ禍の「密」』
入選
熊田 聖三『肖像写真 蝶と蛾』
太田 明男『アゲハの吸水行動~放水の瞬間(5枚組写真)』
玉嶋 勝範『アリの巣から脱出したクロシジミの運命』
青木 稔『スケカバマダラ』
長谷川 匠『雪に咲く燻銀の華』
小田桐 啓太『スギタニルリシジミの春』
川田 澄男『手はオシッコだらけ』
立岩 幸雄『沖縄の青い空と海を背景に占有行動中のフタオチョウ♂』

学生の部

特選
西 雅刀『クリとキマルリ』
準特選
白井 建『アサマイチモンジの交尾』
関 理紗『どこまでも遠くへ』
入選
清水 美京『森の妖精との邂逅』
上辻 愛織『カノコガの羽化』
仁地 悠人『アリに守られたチョウセンアカシジミ』

入賞作品はこちらからご覧下さい。

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。