ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

蝶と蛾 73(3/4)(電子版)発行のお知らせ

2023年1月 7日公開

蝶と蛾 Vol.73 No.3/4 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが274に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2022年11月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol. 73 No. 3/4

    • Biological notes on the fern feeding micromoth, Cuprina porphyrantha (Meyrick, 1913) (Lepidoptera: Stathmopodidae), with a new hostplant, Dryopteris hondoensis from Japan.
    • Shigeki KOBAYASHI, Takeshi TERADA
    • ヒメクロシダマイコガ(ニセマイコガ科)に関する生態学的知見
    • 小林 茂樹, 寺田 剛
    • ページ: 111-121
    • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.73.3-4_111
  • Discovery of Bembecia kaszabi (C?pu?e, 1973) (Lepidoptera, Sesiidae) from Kyushu, Japan.
  • Sadahisa YAGI, Takahiro YANO, Fukashi ISHIWATA, Kota OGAWA, Yuki MATSUI, Hideshi NAKA
  • メスアカスカシバ(新称)(チョウ目,スカシバガ科)の日本(九州)からの発見
  • 屋宜 禎央, 矢野 高広, 石綿 深志, 小川 浩太, 松井 悠樹, 中 秀司
  • ページ: 135-146
  • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.73.3-4_135
  • Description of the immature stages of Aedia kumamotonis (Matsumura) with notes on the morphological differences from the sweet potato leaf worm, Aedia leucomelas (Linnaeus) (Lepidoptera, Noctuidae, Aediinae).
  • Daisuke WATABIKI
  • クマモトナカジロシタバの幼生期の記載と近縁種ナカジロシタバとの識別(鱗翅目,ヤガ科,ナカジロシタバ亜科)
  • 綿引 大祐
  • ページ: 147-152
  • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.73.3-4_147
  • ナシマダラメイガの学名に関する考察
  • 吉松 慎一, 綿引 大祐, 中谷 至伸
  • ページ: 153-156
  • DOI: https://doi.org/10.18984/lepid.73.3-4_153
  • 日本鱗翅学会

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    鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。