ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

東京大学総合研究博物館 スクール・モバイルミュージアム「蝶—魅惑の昆虫—」

2022年6月14日公開

日時:
2022年5月13日(金)~10月31日(月)
 9:00~17:00(日曜・祝日休館)
会場:
文京区教育センター2F 大学連携事業室
(文京区湯島 4-7-10) 交通アクセス
TEL: 03-5800-2591
入場料:
無料
後援:
日本鱗翅学会、日本蝶類学会、日本蝶類科学学会、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」

内容

蝶に魅了されて長く研究を続けていた元文部大臣・鳩山邦夫氏により採集・飼育され、東京大学総合研究博物館に寄贈された多くの蝶類標本とその業績に触れながら、翅の多様性を創り出した進化の軌跡のほか、分類、生態、行動、遺伝などの様々な蝶類研究を紹介します。また、蝶が教えてくれる近年の生態系破壊や地球温暖化、外来種などの環境問題について、自然との共生も見据えながら解説します。美麗で魅惑的な存在感を放つ蝶にひき込まれながら、科学的な好奇心や探求心を抱いてもらえれば幸いです。

昆虫学者による講演会

6月4日(土) 15:00~16:00
「映える『蝶』の魅力と研究 -鳩山邦夫コレクションから-」
 矢後 勝也 (東京大学総合研究博物館講師)
7月30日(土) 15:00~16:00
「アジア産チョウ類の生活史 -未解明の幼生期を追って-」
 原田 基弘 (日本蝶類学会・名誉会員/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
8月20日(土) 15:00~16:00
「枯葉や岩に化ける蝶の擬態 -擬態模様はブロックの組み合わせでできている-」
 鈴木 誉保 (東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教)
9月10日(土) 15:00~16:00
「タテハチョウの幼虫の分類」
 手代木 求 (日本蝶類学会・元編集委員長/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
10月8日(土) 15:00~16:00
「キラキラ輝くジャングルのセセリチョウ」
 築山 洋 (日本蝶類学会・元編集委員長/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
10月22日(土) 15:00~16:00
「蝶の寿命 -食べる、そして、恋する一生-」
 奥本 大三郎 (埼玉大学名誉教授/ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」館長)

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。