ミノウスバ Pryeria sinica
(マダラガ科)

半透明の翅をもつ昼飛性のマダラガ。日本では北海道から九州まで分布し、マサキ、ツルウメモドキなどのニシキギ科を食樹とする。首都圏では晩秋11月頃に成虫が見られるが、寒冷地ほど早く出現する傾向にあるようで、青森県の山地では9月下旬に発生の盛期を迎える。

食樹のマサキが生垣として植栽されることから、市街地に多く生息する。多数の卵を並べて産み付ける習性があり、幼虫は群れて生活するため、植栽のマサキの葉を食べ尽くす害虫としても知られている。しかし、こと青森県においては市街地で発生した例が知られておらず、自然度の高い山林で偶然的に採集されるばかりの稀種である。市街地への進出程度に顕著な地域差が見られることは興味深い。

撮影データ: 2017年9月24日 青森県平川市
撮影・文章: 工藤 誠也

閉じる

日本鱗翅学会

東京大学総合研究博物館 スクール・モバイルミュージアム「蝶—魅惑の昆虫—」

2022年6月14日公開

日時:
2022年5月13日(金)~10月31日(月)
 9:00~17:00(日曜・祝日休館)
会場:
文京区教育センター2F 大学連携事業室
(文京区湯島 4-7-10) 交通アクセス
TEL: 03-5800-2591
入場料:
無料
後援:
日本鱗翅学会、日本蝶類学会、日本蝶類科学学会、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」

内容

蝶に魅了されて長く研究を続けていた元文部大臣・鳩山邦夫氏により採集・飼育され、東京大学総合研究博物館に寄贈された多くの蝶類標本とその業績に触れながら、翅の多様性を創り出した進化の軌跡のほか、分類、生態、行動、遺伝などの様々な蝶類研究を紹介します。また、蝶が教えてくれる近年の生態系破壊や地球温暖化、外来種などの環境問題について、自然との共生も見据えながら解説します。美麗で魅惑的な存在感を放つ蝶にひき込まれながら、科学的な好奇心や探求心を抱いてもらえれば幸いです。

昆虫学者による講演会

6月4日(土) 15:00~16:00
「映える『蝶』の魅力と研究 -鳩山邦夫コレクションから-」
 矢後 勝也 (東京大学総合研究博物館講師)
7月30日(土) 15:00~16:00
「アジア産チョウ類の生活史 -未解明の幼生期を追って-」
 原田 基弘 (日本蝶類学会・名誉会員/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
8月20日(土) 15:00~16:00
「枯葉や岩に化ける蝶の擬態 -擬態模様はブロックの組み合わせでできている-」
 鈴木 誉保 (東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教)
9月10日(土) 15:00~16:00
「タテハチョウの幼虫の分類」
 手代木 求 (日本蝶類学会・元編集委員長/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
10月8日(土) 15:00~16:00
「キラキラ輝くジャングルのセセリチョウ」
 築山 洋 (日本蝶類学会・元編集委員長/東京大学総合研究博物館・研究事業協力者)
10月22日(土) 15:00~16:00
「蝶の寿命 -食べる、そして、恋する一生-」
 奥本 大三郎 (埼玉大学名誉教授/ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」館長)

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。