ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

閉じる

日本鱗翅学会

蝶と蛾 72(1)(電子版)発行のお知らせ

2021年4月 4日公開

蝶と蛾 Vol.72 No.1 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが265に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2020年9月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol.72 No.1

    • Female visits to male territory and mating in two theclini species (Lycaenidae)
    • Michio IMAFUKU
    • ミドリシジミ族2種(シジミチョウ科)における雄の縄張りへの雌の侵入と交配
    • 今福 道夫
    • ページ: 1-5
    • Observation of overnight mating patterns in Vanessa indica (Herbst), Nymphalidae
    • Haruo FUKUDA, Tosiaki INOUE
    • アカタテハの薄暮~翌朝交尾パターンの観察例
    • 福田 晴夫, 井上 寿昭
    • ページ: 7-10
    • Assara seminivalis (Turner) (Lepidoptera, Pyralidae) newly recorded from Japan, with biological notes on it
    • Yohei OSADA, Hiroshi YAMANAKA, Hiraku YOSHITAKE
    • サキシマスオウノキマダラメイガ(新称)(メイガ科)の日本からの初記録,および生態的知見
    • 長田 庸平, 山中 浩, 吉武 啓
    • ページ: 11-15

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。