ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

蝶と蛾 71(1)(電子版)発行のお知らせ

2020年6月12日公開

蝶と蛾 Vol.71 No.1 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが261に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2019年9月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。


蝶と蛾 Vol.71 No.1

    • Structure of and changes in butterfly assemblage in a residential area developed in a Satoyama landscape in the suburb of Kyoto City, central Japan.
    • Shu YOSHIDA, Norio HIRAI, Shouhei UEDA, Minoru ISHII
    • 京都市郊外の里地里山地域に造成された住宅地のチョウ類群集の構造と変化
    • 吉田 周, 平井 規央, 上田 昇平, 石井 実
    • ページ: 1-14
    • A new species of the genus Phaneta Stephens (Lepidoptera, Tortricidae, Olethreutinae) from Amami-oshima Is., Japan.
    • Yoshitsugu NASU
    • 日本産Phaneta属の1新種 (鱗翅目, ハマキガ科, ヒメハマキガ亜科)
    • 那須 義次
    • ページ: 15-20
    • Emergence of a gynandromorph and its inferred mechanism in Sasakia charonda (Hewitson, 1863).
    • Takeya YAMAMOTO, Fumio NAGASAKI, Takashi YAGI
    • オオムラサキにおける雌雄モザイク個体の発生とその発生メカニズムの推定
    • 山本 毅也, 長崎 二三夫, 八木 孝司
    • ページ: 21-26

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。