ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

公開シンポジウム「インセクトワールド -多様な昆虫の世界-」

2019年6月16日公開

公開シンポジウム「インセクトワールド -多様な昆虫の世界-」の概要

プログラム

13:00 日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会活動報告
小野 正人 (日本学術会議連携会員・玉川大学学術研究所)
13:20 日本昆虫科学連合活動報告
伴戸 久徳 (日本昆虫科学連合代表・北海道大学大学院農学研究院)
講演 (座長) 辻 和希 (日本学術会議連携会員・琉球大学農学部亜熱帯農林環境科学科)
13:35 「非社会性昆虫コメツキモドキと菌の栽培共生」
土岐 和多瑠 (名古屋大学大学院生命農学研究科)
14:05 「ユスリカの世界」
平林 公男 (信州大学学術研究院繊維学系)
14:35 「加工食品で発育するノシメマダラメイガ」
宮ノ下 明大 (国立研究開発法人農研機構食品安全研究領域)
15:05-15:20 (休憩)
15:20 「シロアリにおけるオスのいない社会の進化」
矢代 敏久 (国立研究開発法人農研機構九州沖縄農業研究センター)
15:50 「昆虫社会の化学感覚と好き嫌い」
尾崎 まみこ (神戸大学大学院理学研究科)
16:20 総合討論 (座長) 辻 和希
16:45 閉会

伊藤 雅信 (日本昆虫科学連合事務局)

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。