ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

会誌「蝶と蛾」69巻(1・2・3/4号)冊子体の販売について

2019年1月11日公開

本誌は2018年1月より従来の冊子体を廃止して、J-Stage(科学技術情報発信・流通総合システム)上での電子出版へ無事完全移行しました。しかし、会員ごとの電子媒体(インターネット)利用環境は大きく異なるものと推測され、電子出版の本誌を見る機会が自由にならない会員もいるかもしれません。そこで、有償ではありますが、すでに電子出版されている本誌69巻1・2・3/4号 (2018年発行分)をまとめてオンデマンド印刷して、お届けするサービスを実施することにしました。

費用は4,000円(実費送料込、会員価格)とし、下記振込口座へのお振り込みをもって申込みといたします。

  • 郵便振替口座 01030-2-15914 (加入者名:日本鱗翅学会)

申込期間は、2019年1月1日~2019年3月31日までとし、4月以降発送の予定です。振込用紙には必ず「蝶と蛾69巻 合本希望」とお書きのうえ、会員番号、郵便番号、住所、氏名もご記入ください。

2019年3月31日以降の購入希望については、残部があれば販売いたしますが、売り切れの際はご了承ください。

「蝶と蛾」編集委員会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。