ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

蝶と蛾 69(1)(電子版)発行のお知らせ

2018年7月18日公開

蝶と蛾 Vol.69 No.1 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、Vol.68 No.3/4に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

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蝶と蛾 Vol.69 No.1

    • DNA barcoding and adult morphology reveal an unrecorded species on Citrus and other new host associations of Blastobasidae (Lepidoptera: Gelechioidea) in Japan, with taxonomic notes on the genus Lateantenna.
    • Issei OHSHIMA, Yositaka SAKAMAKI, Hiromitsu INOUE, Tomonori ARAI, David ADAMSKI
    • DNAバーコーディングおよび成虫形態から明らかとなったネマルハキバガ科(鱗翅目: キバガ上科)のミカンを加害する日本未記録種と新たな寄主植物の記録
    • 大島 一正・坂巻 祥孝・井上 広光・新井 朋徳・D. Adamski
    • ページ: 1-9
    • Taxonomic relationship between Earias roseifera Butler and Earias roseoviridis Sugi (Lepidoptera: Nolidae: Eariadinae) with reference to their distributions mainly in Japan.
    • Daisuke WATABIKI, Shin-ichi YOSHIMATSU
    • ベニモンアオリンガとオオベニモンアオリンガの分類学的関係, 日本における両種の分布を参考に
    • 綿引 大祐・吉松 慎一
    • ページ: 11-18
    • Records of Gelechioid moths from Amami-Ôshima Island.
    • Jouhei OKU, Yositaka SAKAMAKI, Shin-ichi SAMESHIMA, Katsuo TSUDA, Takeshi TERADA
    • 奄美大島のキバガ上科の記録
    • 奥 尉平・坂巻 祥孝・鮫島 真一・津田 勝男・寺田 剛
    • ページ: 19-32
    • Seasonal and sexual differences in the ultraviolet reflectance and scent scale substances of the wings of Pieris napi japonica (Lepidoptera, Pieridae).
    • TANAHASHI Ichiro
    • ヤマトスジグロシロチョウの季節型による翅の色彩と香気成分の変化
    • 棚橋 一郎
    • ページ: 33-43
    • A new species of the genus Epinotia Hubner (Lepidoptera, Tortricidae, Olethreutinae) from Japan.
    • NASU Yoshitsugu
    • 日本産Epinotia属の1新種(鱗翅目, ハマキガ科, ヒメハマキガ亜科)
    • 那須 義次
    • ページ: 45-47
    • 蝶と蛾 68巻3/4号の訂正

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。