モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

九州支部平成29年度大会のお知らせ(九州・沖縄昆虫研究会と共催)

2017年11月30日公開

直前になりましたが、日本鱗翅学会九州支部と九州・沖縄昆虫研究会(日本昆虫学会九州支部)の合同大会のプログラムが決まりましたのでご案内いたします。当日参加も可能ですので、お誘い合わせの上ご参加ください。

開催要領

日時
2017年12月2日(土) 13:00~18:00
会場
大分大学 旦野原キャンパス 第一大講義室
(JR大分大学前駅より徒歩10分)
大分大学キャンパスマップ
参加費
無料

プログラム(鱗翅学会関係のみ抜粋)

14:15~14:30
辻 千香子・屋宜 禎央・Khine Mon Mon Kyaw・広渡 俊哉 (九大・農・昆虫)
 九州大学伊都キャンパスにおける潜葉性小蛾類の相調査
14:30~14:45
Khine Mon Mon Kyaw・Sadahisa Yagi・Toshiya Hirowatari (Entomological Laboratory, Kyushu University)
 Taxonomic revision of the genus Cnaphostola Meyrick, 1918 (Lepidoptera, Gelechiidae) in Japan
14:45~15:00
玉嶋 勝範・酒井 彰 (大分昆虫同好会)
 大分県におけるシータテハの季節型決定要因

全体のプログラムやアクセス等の詳細については、九州・沖縄昆虫研究会のウェブサイトをご覧ください。

タイムテーブル

12:00~
受付開始
13:00~13:05
開会の辞
13:05~13:30
九州・沖縄昆虫研究会および日本鱗翅学会九州支部総会
13:30~16:50
一般講演 (口頭発表&ポスター発表)
17:10~18:00
特別講演 (三宅 武/大分昆虫同好会)
18:00
閉会の辞
18:20~
懇親会 (B-Forêt ビ・フォーレ)
懇親会費: 一般5,000円,学生3,000円

申込・お問い合わせ

〒812-8581

福岡市東区箱崎 6-10-1

九州大学農学部昆虫学教室

広渡 俊哉・屋宜 禎央

E-mail:hirowat_tagr.kyushu-u.ac.jp | yagi.sadahisagmail.com

広渡 俊哉・屋宜 禎央

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。