ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

日本産チョウ類の衰亡と保護 第7集

2016年4月 3日公開

おかげさまで『日本産チョウ類の衰亡と保護第7集』が無事に発行されました。本書には、蝶・蛾類の日本における生息の現状や実践的な保護活動の事例報告など、2013年10月に東京で開催した自然保護セミナーの内容が掲載されています。また、四訂版となる最新の都道府県別蝶類レッドリストでは、初めて全47都道府県の情報を揃えることができました。本書のご購入は下記の案内に従ってお申し込みください。

また、お問い合わせにつきましては、本会事務局(03-3812-5223)までご連絡ください。

発行日:
2016年1月31日出版 A4版/352頁
編者:
矢後勝也・平井規央・神保宇嗣(日本鱗翅学会自然保護委員会)
頒価:
3,500円(外税、送料込)

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。