ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

沖縄島北部・高江と安波の米軍ヘリパッド建設に関わる要望書

2015年3月23日公開

沖縄島北部にある「高江」および「安波」では、米軍ヘリパッド建設に伴う森林伐採や赤土の流出、さらにはオスプレイを含む米軍機の低空飛行や離着陸に伴う爆風や高熱の下降気流による環境悪化などの影響から、リュウキュウウラボシシジミやリュウキュウウラナミジャノメ、コノハチョウ、フタオチョウなど、多くの希少チョウ類をはじめとする昆虫類の存続に甚大な被害を及ぼすことが懸念されるため、早急な建設予定地とその周辺域における環境保全の要望が必要となりました。

そこで本学会は、2015年3月23日に防衛大臣、沖縄県知事、東村村長および国頭村村長宛宛に以下の要望書を提出しました。

2015年3月23日
自然保護委員長 矢後 勝也

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。