モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会第61回大会(鹿児島市)のご案内

2014年9月26日公開

※終了しました。

日本鱗翅学会第61回大会を下記の通り実施することになりましたのでご案内します。多数のご参加をお待ちしております。なお、本大会は鹿児島昆虫同好会の後援をいただいております。

プログラム

日本鱗翅学会第61回大会プログラム

*プログラムは9月時点のものです。一部変更する場合もありますので、ご了承ください。

会場

大会会場
鹿児島大学農学部 農学部・共同獣医学部共通棟(Googleマップ)
〒890-0065 鹿児島市郡元1丁目21-24
Tel/Fax:099-285-8684(害虫学研究室)
懇親会場
鹿児島大学教育学部食堂 エデュカ

日程

2014年10月25日(土)~10月26日(日)
10月25日(土) 評議員会(午前中)、公開講演会、記念撮影、一般講演(ポスター)、公開シンポジウム、懇親会
10月26日(日) 公開シンポジウム2、小集会1、一般講演(ポスター)、自然保護委員会、総会、小集会2

※10月24日(金)の夕方に会場内で理事会を開催します。

会費

大会参加費
3,000円
懇親会費
6,000円
講演要旨集のみ
2,000円(送料込み)
昼食代(弁当+お茶)
1,000円(2日目のみ)

優秀発表賞

大会企画として、優秀なポスター発表(一般部門および30歳以下若手部門)の優秀発表に対して表彰を行います。受賞者の発表および授賞式は、2日目の15時30分から行います。

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。