ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

第9回日本鱗翅学会自然保護セミナー ~第二の絶滅危惧種の増加~

2013年8月17日公開

※終了しました。

日本産チョウ類の減少は、これまで草地的環境に適応した多くの種で確認されてきました。しかし最近では、これまで注目されてこなかった種が各地で顕著に減少していることが明らかになってきました。その中には、これまでに例のない生息環境の悪化や、一定の環境条件が整っているのに個体群が衰亡する事例など、新たな対処が必要なケースも増えています。

今回のセミナーでは、最近になって顕著に減少している種を「第二の絶滅危惧種」と呼び、その現状について全国各地区の自然保護委員が報告を行います。さらに、それぞれの事例をもとに、減少の原因を考察するとともに、日本鱗翅学会が今後すべきことを、参加された皆様と一緒に考えたいと思います。

本セミナーは申し込み不要です。また、会員以外でも参加できます。ふるってご参加ください。

日時・場所

主催
日本鱗翅学会自然保護委員会
(後援:日本蛾類学会、日本チョウ類保全協会)
日時
2013年10月5日(土)
会場
東京大学本郷キャンパス 理学部2号館4F大講堂(東京都文京区本郷7-3-1)
理学部2号館
周辺地図
参加費
無料(申込不要、会員外でも参加できます)
懇親会費
5000円(当日申込をお願いします)

プログラム

10:00
開会・あいさつ
10:05~10:35
基調講演
石井 実(日本鱗翅学会会長)
「環境省第4次レッドリストからみた日本の昆虫の現状と危機要因」
10:35~11:00
関東支部(渡邉 通人)
「富士山北部におけるギンボシヒョウモンの分布変化について」
11:00~11:25
信越支部(四方 圭一郎)
「長野県における草原性蛾類の現状とレッドリスト改訂」
11:25~11:50
東海支部(鈴木 英文)
「静岡県におけるレッド種に次いで減少著しい蝶類数種」
11:50~13:10
昼食休憩(12:10~12:55 自然保護委員会)
13:10~13:40
招待講演 東京大学大学院総合文化研究科 倉島 治・斎藤 昌幸・伊藤 元己
「チョウ類の分布解析から分かること」
13:40~14:10
特別講演
神保 宇嗣(国立科学博物館)
「ガ類の絶滅危惧種はどこまで分かっているのか? 現状と今後」
14:10~14:20
休憩
14:20~14:45
近畿支部(森地 重博)
「近畿地区におけるチョウの生息状況、および近年のシカ害の影響」
14:45~15:10
中国支部(伊藤 國彦)
「中国地方の蛾類概要」
15:10~15:35
四国支部(窪田 聖一)
「四国における蝶類の最近の状況」
15:35~15:45
休憩
15:45~16:10
九州支部(宮城 秋乃)
「沖縄県東村高江のリュウキュウウラボシシジミ大発生地を脅かす米軍ヘリパッド建設問題」
16:10~16:35
東北支部(工藤 忠)
「東北地方におけるゴマシジミの生息状況」
16:35~17:25
総合討論
17:30
閉会
18:00
懇親会
東大構内(本郷銀杏・メトロ[法文2号館下])

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。