マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

近畿支部第146回例会・日本昆虫学会近畿支部2012年度大会合同大会

2012年11月27日公開

※終了しました。

下記のとおり第146回例会・合同大会を開催しますので、多数の方のご参加をお願い申し上げます。 鱗翅学会から口頭発表5件とポスター発表1件、昆虫学会から口頭発表8件ポスター発表と展示6件です。 会員以外の方のご参加も歓迎します。

日時・場所

日時
2012年12月8日(土)13:00-17:00
会場
兵庫県立人と自然の博物館
Google マップ
参加費
会員:200円/人(博物館観覧料、茶菓代含む)
非会員:50円/人(博物館観覧料含まず、茶菓代相当)
懇親会
18:00-19:30
懇親会費は、大人2,000円/人、学生1,000円/人

プログラム

10:30
「カワウの巣の昆虫相」八尋克郎1・亀田佳代子1・那須義次2・村濱史郎3 (1滋賀県立琵琶湖博物館、2大阪府病害虫防除所、3株式会社野生生物保全研究所)
10:45
「琵琶湖竹生島のカワウの巣の鱗翅類」那須義次・村濱史郎・大門聖・八尋克郎・亀田佳代子
11:00
「オオヒロズコガ(ヒロズコガ科)に近縁な国内未知種」〇長田庸平・坂井誠*・広渡俊哉(大阪府大院・生環*共生科学)
11:15
「ツマグロケンヒメバチとその近縁種における分類学的諸問題」伊藤誠人・渡辺恭平・前藤薫(神戸大院・農)
11:30
「DNAバーコーディングによって発見されたハラボソコマユバチ属Meteorusの1新種 藤江隼平・前藤薫(神大・農・昆虫多様性)
11:45
「マイマイガに寄生するチビアメバチ2種とその高次寄生蜂、およびマイマイガを利用するヒメバチ上科に見られる繭形態の多様性」渡辺恭平(神戸大院・農)
12:00
(休憩)昆虫学会、鱗翅学会役員会
13:00
「ガガイモ科の送粉系に関する知見(その4):イケマへの飛翔性訪花者は送粉に貢献しているのか?_コハナバチ・マルハナバチ・蛾類、および、アリ類の間での、送粉関連形態ならびに訪花行動についての比較考察」濱西 洋(三田市)
13:15
「クロヤマアリを誘引するカラスノエンドウ上の奇妙な種間相互作用」笠井敦(京都大学大学院農学研究科)
13:30
「クルミホソガAcrocercops transecta(鱗翅目:ホソガ科)のホストレース間での寄生蜂相の比較」〇河村友裕,大島一正(京都府大・生命環境)
13:45
「ギンケハラボソコマユバチの体色の異なる2系統における日周活動性の比較」藤井智浩(神戸大・農)・西村卓真・前藤薫(神戸大院・農)
14:00
「ホソヘリカメムシが飛翔時に示す光走性の解析」〇名和厚樹・後藤慎介・志賀向子(大阪市大・院・理)
14:15
「セスジアメンボLimnogonus fossarum fossarumの餌条件を統一した飼育手法の確立」〇広岡佑太,大島一正(京都府大・生命環境)
14:30
「ヤママユが食べて糞をする植物と全く囓らない植物の差は何?」寺本憲之(びわ湖の森の生き物研究会)
14:45
ポスター及び展示
P1「外来昆虫ヘクソカズラグンバイの四国における分布拡大(第3報)」加藤敦史(東大阪市)・山田量崇(徳島県立博物館)
P2「ヨコヅナサシガメの配偶行動とその化学因子」〇坂田 大介、薬丸 亮太、秋野 順治(京都工芸繊維大学 生物資源フィールド科学教育研究センター)
P3「寄生蜂のSSR解析のための羽化繭からのDNA抽出方法」梅基弘宣・西村卓真・前藤薫(神戸大院・農)
P4「クロヤマアリ巣仲間認識に対する巣間距離の影響」坂田惇一、秋野順治(京都工芸繊維大学 生物資源フィールド科学教育研究センター)
P5「ツノヤハズモドキの多様性」沢田佳久(兵庫県博・昆虫共生)
P6「エゾスジグロシロチョウの香気成分の経時変化」棚橋一郎(大阪工業大学)
展示「スズムシのジナンドロモルフ(標本と生時の動画)」兵庫県博・昆虫共生
15:45
「アカハネオンブバッタの近畿地方への移入と分布拡大」河合正人*1、市川顕彦*1、冨永修*1、森康貴*1、西口栄輔*1、伊藤ふくお*1、金沢至*2、加納康嗣*1、〇松本吏樹郎*2 (*1日本直翅類学会、*2大阪市立自然史博物館)
16:00
「関西での冷温帯性キジラミの新知見、特にヤマオオトガリキジラミとキハダヒメキジラミについて」宮武頼夫
16:15
「海岸性甲虫類と海浜の面積および孤立度との関係」〇河上康子(高槻市)・村上健太郎(名古屋産業大学)
16:30
「聟島列島の異翅半翅類相」伴 光哲(エー環境研究所)・岸本年朗
16:45
「ブータンの蝶類について」渡辺康之
17:00
「マダラチョウ類の越冬地を求めて-台湾蘭嶼島と香港-」金沢 至(大阪市立自然史博物館)
18:00-19:30
懇親会

お問い合わせ先

日本鱗翅学会近畿支部幹事長 伊藤ふくお
〒639-0201 奈良県北葛城郡上牧町片岡台3丁目1-25-101
TEL:0745-51-7626
FAX:0745-51-7627
e-mail:para-sita2@kdt.biglobe.ne.jp

日本鱗翅学会

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東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。