ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

会誌バックナンバーの取り扱いについて(変更)

2011年11月 9日公開

『蝶と蛾』『やどりが』などの本会出版物のバックナンバーは、福島県いわき市の日本鱗翅学会出版管理部にて取り扱っておりましたが、3月の東日本大震災で大きな被害を受け、バックナンバーの出荷に支障をきたしております。そのため、現在の日本鱗翅学会出版物管理部でのバックナンバーの取り扱いは今年度で終了します。来年度からは東京本部がバックナンバーを取り扱っていきます。

なお、新たにバックナンバーの保管場所を確保することが困難なこと、近年の出版物電子化の進展により、バックナンバーの需要が縮小傾向にあるこことから、来年度以降はバックナンバーの取り扱い期間は、出版後2年間を目途とさせていただきます。

出版物管理部の倉庫が震災の被害により、倉庫内が混乱しています。そのため、下記の号の発送は時間がかかる場合があることをご了承ください。

バックナンバー発送可能時期(予定)

『蝶と蛾』1~20、54(1)~
2011年9月~2012年6月15日
『やどりが』No.194~
2011年9月~2012年6月15日
『蝶と蛾』21~53
2011年12月10日~2012年6月15日
『やどりが』No.194以前
2011年12月10日~2012年6月15日

現在の出版物管理部でのバックナンバーの申込みは2011年12月31日までとなります。

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。