モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

信越支部「松本市美ヶ原三城昆虫・植物調査」

2009年6月29日公開

信越支部「松本市美ヶ原三城昆虫・植物調査」
(山と自然博物館・松本むしの会と合同)

※終了しました。

山と自然博物館・松本むしの会・鱗翅学会信越支部合同で美ヶ原高原三城牧場一帯の昆虫調査を行います。どなたでも参加自由です。

日時・場所
日時
2009年7月11日(土)から12日(日)
場所
三城 山荘ピリカ 9:30集合
雨天の場合は15:00集合
電話
0263-31-2122
日程
11日(土)
9:30集合、荷物をロッジに置く
10:00-15:00三城牧場一帯で昆虫・植物の観察・調査
15:00食事用意 カレーライス作り
17:30夕食、バーベキュー・焼肉
19:30夜間昆虫観察会・昆虫談議
12日(日)
6:30朝食
7:30ゼフィルス類観察会
10:00観察記録報告会
11:00自由解散
持物
11日昼食その他各自必要と思われる品。 寝具はありますが念のため大人の男性で寝袋のある方は持参ください。
会費
予算は出席人数にもよりますが一人平均\3000以内で行いたいと思います。 お酒を買う予算がありませんので飲まれる方は持参でお願いいたします。
問い合わせ
松本市山と自然博物館 丸山まで 090-7242-3937

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〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。