モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会東海支部2008年総会兼第139回例会のご案内

2008年12月 6日公開

※終了しました。

日本鱗翅学会東海支部2008年総会兼第139回例会を以下の要領で開催いたします。 会員以外の方の参加も大歓迎です。皆様のお越しをお待ちしております。

日時・場所

日時
2008年12月6日(土)13:00-17:00
会場
名城大学共通講義棟北館N-105講義室
名古屋市天白区塩釜口1-501
TEL:052-832-1151(代表)
参加費
500円(非会員参加大歓迎)

標本展示や文献等の閲覧販売もできますので、お持ち下さい。

当日終了後懇親会(3000円)を実施します。参加希望者は当日受付で。

プログラム

特別講演
「多細胞動物の進化メカニズム」池田清彦
昆虫に関する著作が多数ある池田清彦先生に遺伝子の突然変異と自然選択以外の進化メカニズムについてお話しいただきます。 皆さんふるってご参加ください。
一般講演
高橋真弓:キルギス産地の蝶類とその生息地(2008年の調査)
間野隆裕・高橋匡司:愛知県内のオオムラサキの分布と幼虫の生態知見
枝恵太郎:中国広東省南嶺・石門台の蛾類
連絡先
日本鱗翅学会東海支部事務局 枝 恵太郎
〒420-0047静岡市葵区清閑町13-12 (株)環境アセスメントセンター
e-mail:tokai@lepi-jp.org
TEL.054-255-3650 FAX.054-253-7891

日本鱗翅学会

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アクア白山ビル5F
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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。