モンキチョウ Colias erate poliographus
(シロチョウ科モンキチョウ亜科)

モンキチョウは平地から亜高山帯まで、日本各地に広く分布する普通種である。早春から晩秋にかけて、公園や堤防などの開けた環境を活発に飛び回る成虫の姿がしばしば見られるが、いざ採集しようとすると意外に素早く、子どもが持つ網ではなかなか捕らえられない。

観察を続けていると、写真のように雌雄が並んでホバリングする場面に出会うことがある。モンキチョウの♂は常に黄色で、♀には黄色型と白色型が存在するため、写真では左が♀、右が♂である。多くの蝶類と同様に、モンキチョウでも♂は♀を求めて飛び回り、発見すると一目散に追尾する。野外で見られる♀の多くはすでに交尾を済ませており、そのため♂の求愛行動は大半が失敗に終わるが、♀が即座に拒否行動を示さない場合には、このような空中での追尾がしばらく継続することがある。

このとき、雌雄の位置関係をよく観察すると興味深い点に気づく。追尾しているはずの♂が、実際には♀の前方を飛んでいるのである。これは、♂の翅表(種によって分泌器官の位置は異なる)から揮発性の化学物質が放出されており、それが性フェロモン(同種の個体間で交信を行うために用いられる化学物質)として作用し、♀にその香りを嗅がせているためと考えられている。

チョウの性フェロモンに関する研究は、ガに比べて進展が遅れており、その機能は未解明な点が多いが、どうやら♀の警戒心を和らげ、♂の求愛を受け入れやすくする役割があるとされている。

撮影データ: 2023年6月20日 鳥取県鳥取市・湖山池公園
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会東海支部 第135回例会のご案内

2007年8月25日公開

※終了しました。

日時・場所

日時
2007年8月25日(土)から26日(日)
場所
静岡市岩崎 井川県民の森(コテージ泊)
(tel.054-260-2214)
集合
8月25日(土)管理棟前大駐車場 16:00
参加費
3,000円(食事は各自持参)
参加申込
参加希望者は8月20日までに諏訪哲夫まで
(〒420-0815 静岡市上沓谷町14-9 tel. 054-247-6524)
メールでの参加希望者は、tokai@lepi-jp.org(枝 恵太郎まで)

会場について・注意点など

静岡市街地より安倍川に沿って北上、玉機橋を井川湖方面に左折富士見峠の先をリバーウェルスキー場、 県民の森方面に右折します。静岡市街地から約2時間。
宿泊
今年度は井川県民の森キャンプ場のコテージを4棟ほど借りて行います。 なお寝具はついておらず、有料となります(寝袋1泊200円、毛布1泊100円)。寝袋等の持参お願いします。
食事
飲み物の自販機はありますが、その日の夕食、翌日の朝食、アサギマダラ調査会に参加される場合は昼食、 それに夜の飲み物など、各自で工夫してご用意ください。

25日は夜間採集屋台を設置する予定です。

26日はアサギマダラ調査会実施。26日のみの参加も歓迎。 上記管理棟前大駐車場前10:00集合(各自油性ペン、昼食・飲み物用意)

お問い合わせ先
日本鱗翅学会東海支部事務局
枝 恵太郎
〒420-0047
静岡市葵区清閑町13-12
(株)環境アセスメントセンター
e-mail:tokai@lepi-jp.org
TEL.054-255-3650
FAX.054-253-7891
(東海支部事務局所在地が変わりました)

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。