ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

第6回構造色シンポジウム

2005年10月22日公開

※終了しました。

日時
2005年10月22日(土)12:50-19:00
場所
大阪大学吹田キャンパス・大阪大学大学院生命機能研究科・ナノバイオロジー棟3階Fセミナー室 (大阪モノレール阪大病院前下車徒歩3分)
主催
構造色研究会
共催
兵庫県立人と自然の博物館・日本鱗翅学会
参加費
無料 ※一般の方の参加も同様です

プログラム

12:50-13:00 開会のあいさつ
第1部 シンポジウム「蝶の翅はなぜ美しいのだろう-鱗粉構造とパターンと行動と」
13:00-14:00「Nanotechnology at room temperature: structure and some words on possible formation of butterfly scales」/Helen Ghiradella(NewYork州立大学Albany校)
14:00-14:40「チョウの色覚と複眼構造/蟻川謙太郎(横浜市立大学)
14:40-15:00「アカタテハ属の色彩パターン修飾と種分化」/大瀧丈二 (神奈川大学)
15:00-15:20「蝶の翅のパターン:ストライプ模様をはっきり見せる工夫」/吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)
15:20-15:40 coffee break
第2部 一般講演
15:40-16:00「モルフォ再現基板実用化への道-3原色と大量生産-」/齋藤 彰(阪大・理研)、平井義彦(大阪府立大学)
16:00-16:20「モルフォチョウ構造色についての結晶解析学的研究」/神戸亮A、近藤泰洋B、梶谷剛B、宮嵜博司B、木下修一A(阪大・生命機能A、東北大・工B)
16:20-16:40「構造色の構成と変化について~タマムシの翅はわかった?~」/足立栄希(日本ロレアル(株))
16:40-17:00「環形動物の構造色 -ミミズ、ゴカイ、ヒルの表皮構造の比較-」/小作明則、宮本 潔(獨協医大・医総研)
17:00-17:20「コロイド結晶薄膜の形成過程のその場観察」/石井 昌彦、原田雅史、中村 浩((株)豊田中央研究所)
第3部 ポスターセッション、展示、懇親会(17:30-19:00 ナノバイオロジー棟1Fフロア)
「光コヒーレンス断層法(OCT)による蝶の翅の形成過程のその場観察」/神戸亮、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延、上田悦弘、近江雅人、春名正光(阪大・医)
「真珠とホワイトパール・・・パール顔料の歴史」/中畑顯雅、長野千尋(関西ペイント(株))
「身近で多様な構造色の世界:クモ」/荒川真子、神戸亮、吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延(阪大・医)
「身近で多様な構造色の世界:ハト」/中村衣利、神戸亮、吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延(阪大・医)
「中南米産プラチナコガネの発色構造」/星 元規(筑波大学)、小作 明則、宮本 潔(獨協医科大学)
標本展示~構造色を持つ昆虫達/八木 剛(兵庫県立人と自然の博物館)

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。