マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

日本産蝶類の衰亡と保護 第5集発売のお知らせ

2003年8月 2日公開

巣瀬 司・枝恵太郎 共編
『日本産蝶類の衰亡と保護 第5集』
2003年8月出版 B5判/約200頁 予価2,000円

第5集表紙

※完売しました。

2003年8月2-3日開催予定の「第7回日本鱗翅学会セミナー」にあわせて、発売します。 内容は1993年に発行した「日本産蝶類の衰亡と保護 第2集『日本産蝶類県別レッドデータリスト』」の改訂版とセミナーの講演要旨集です。

本件に関するお問い合わせは、下記まで。

日本鱗翅学会自然保護委員会委員長 巣瀬 司
〒337-0975 さいたま市代山172 シラサギ記念自然史博物館内
TEL:048-878-0500/FAX:048-878-3335

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。