ヒメクロオビフユナミシャク Operophtera crispifascia
(シャクガ科ナミシャク亜科)

寒冷期に活動するシャクガの仲間、いわゆる冬尺蛾のひとつ。山深いブナ林に生息する。木々の葉が黄色く色付きそして落葉する直前のひと時に限って出現し、同所的に見られる他の冬尺蛾よりも出現時期はやや早い。

冬尺蛾のメスはいずれも翅が縮小あるいは消失しており飛翔能力を持たないが、その中にあって本種のメスは相対的にかなり大きな翅をもつ。オスは低地~山地でよく見られるクロオビフユナミシャクに似る。しかし触角の櫛歯は本種の方がはるかに長く、識別は容易。

ブナの幹に本種のメスがとまっていると、中途半端な大きさの翅が幹表面に接して周囲に馴染み、小さなコブのように見える。コーリング(雌性フェロモンの放出)は午後7時頃に行われ、その時間帯には多数のオスがブナ林内を飛び交う。

撮影データ: 2015年10月17日 八甲田山(青森県)
撮影・文章: 工藤 誠也

閉じる

日本鱗翅学会

関東支部「秋の集い」2002年

2002年10月 6日公開

吹く風に秋の爽やかさを感じる候になりました。 さて、恒例となりました「秋の集い」を開催いたしますので、ご案内申し上げます。 今回は、一般講演の他、当関東支部・甲州昆虫同好会との共催による特集「富士山とその周辺の蝶と蛾」の講演もあります。 皆様、どうかお気軽にご参加ください。

日時
2002年10月6日(日) 13:30-17:00(開場13:00)
会場
清水学園8階記念ホール
(渋谷駅より徒歩5分 表参道駅より徒歩8分)
参加費
1,000円(会場費・要旨代を含む)
懇親会
未定(決定次第ここでお知らせします)

プログラム

特集・富士山とその周辺の蝶と蛾
北原 正彦
 富士山の蝶類群集の調査について
早見 正一
 富士山に入り込めなかった蝶
宮下 泰典・白須 英樹・渡辺 通人
 富士山およびその周辺の昼蛾
一般講演
加藤 義臣・木村 貴子
 ジャコウアゲハにおける卵サイズの地理的変異
大瀧 丈二
 薬剤誘導による色彩パターン修飾と異常型発生のメカニズム
松田 邦雄
 モンゴルで出会った蝶たち
大島 良美
 モンゴルアルタイに蝶を訪ねて
中臣 謙太郎
 ゼフは悠々シャチホコ苦闘 4種昆虫のハンノキ林での棲み分け第2話
企画・運営
日本鱗翅学会関東支部幹事会
担当評議員
岩野 秀俊・矢野 高広・仁坂 吉伸・倉地 正・三橋 渡・大塚 市郎・瀬田 和明・小堀 文彦
幹事
石川 和宏・利根川 雅実・長畑 直和・諸星 重明

日本鱗翅学会関東支部幹事会

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。