ベニスズメ Deilephila elpenor
(スズメガ科ホウジャク亜科)

5月も中旬を過ぎるとクヌギの樹液の出が活発になってくる。暗い林を歩いていると独特の匂いが漂ってきて「樹液廻りの季節がやってきたなあ...。」と嬉しくなる。夜の帳が降りる頃、まず最初にやってくるのがベニスズメだ。彼らは2時間程樹液にまとわりつき、そして消えていく。

ベニスズメは旧北区に広く分布している。日本に分布しているものは亜種lewisiiとされており図巻等でもそのように示されているが、亜種として分ける区別点は見いだせない。また、ベトナムからヒマラヤにかけてやや大型の亜種macromeraが分布している。

幼虫はツリフネソウ科やアカバナ科の草本で良く見られ、終齢幼虫は褐色だがまれに緑色のものもある。ベニスズメの英名は&dquot;Large elephant hawkmoth&dquot;で,これは幼虫の頭胸部が象の鼻に似ているからだという。まあそう見えなくもないが文化の違う人達の感覚はよくわからないものである。

撮影データ: 2010年5月24日 埼玉県桶川市
撮影・文章: 矢野 高広

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日本鱗翅学会

会長あいさつ ~日本鱗翅学会へようこそ~

2019年~2021年度会長 八木 孝司

日本鱗翅学会は、鱗翅類(チョウとガ)の研究者や愛好家の集まりです。本会は終戦直後の混乱期(1945年9月)に誕生し、今日まで70年以上にわたり、日本および世界の鱗翅類の分類や分布・生態の解明などの基礎科学研究をリードしてきました。また、日本学術会議の指定を受けた「協力学術研究団体」として日本の学術研究発展の一翼を担っています。本会は学術論文を掲載する電子ジャーナル「蝶と蛾(Lepidoptera Science)」を年4回、チョウやガの最新研究を広く紹介するオールカラーの冊子体雑誌「やどりが」を年4回発行しています。また本会は、会員が一堂に集い研究発表を行う全国大会を年に1回、さらに8つの支部が個別に行う例会や観察・調査会などを年に数回行っています。市民に公開する「自然保護セミナー」を数年ごとに開催し、「日本産チョウ類の衰亡と保護」と題する本を出版するなど、鱗翅類の保全に関する活動も活発に行っています。

日本は子供から大人まで昆虫が好きな人が多い珍しい国です。よって本会の会員は、大学や研究機関に所属しないアマチュア研究者や愛好家を主体としています。チョウやガの研究は特殊な装置や実験機器がなくてもできることがたくさんあります。アイデアと行動力さえあれば、これまで知られていなかった事柄を誰でも発見できるのです。一方でプロの研究者は最新の高価な機械を使ってアマチュアにはできないDNAや物質レベルの研究ができます。アマチュアとプロが協力することにより、よりレベルの高い研究成果が得られています。その研究成果の発表と情報交換の場が本会です。本会員としてもっとも大事なことは、チョウやガが好きであるということです。私について言えば、小学1年生の夏休みに、父親に買ってもらった捕虫網でクロアゲハを捕まえたことがチョウ好き人生の始まりでした。その年は夏休みに捕ったチョウを標本にして自由研究として提出し、理科展で賞状をもらいました。それから今日に至るまで、趣味としてまた研究材料としてチョウと関わってきました。

鱗翅類は日本から約6千種、世界から約14万種が知られています。この多様性、分類、系統進化、生態などは、チョウやガを愛好する多くの先人たちの熱意と努力によって解明されてきたのです。本会は学生や女性を含む約1,000名の会員から成る日本最大のチョウやガの研究者・愛好家の集まりです。初心者や中高生であっても、わからないことがあれば気軽に先輩の会員たちに尋ねることができます。また30歳以下の人の会費は半額とする若手優遇制度も設けています。チョウやガに興味をもっている皆さん、私たちの仲間に入りませんか。会員一同、皆さんのご入会を心より歓迎します。

2019年1月 日本鱗翅学会 会長 八木 孝司 (大阪府立大学 教授)

日本鱗翅学会

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勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。