マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

日本鱗翅学会の歴史

昭和20年(1945)
9月1日 創立(京都)
昭和24年(1949)
11月30日 会誌『蝶と蛾』発行
昭和30年(1955)
5月15日 第2会誌『やどりが』発行
昭和36年(1961)
台湾調査隊派遣。以降、ヒマラヤ蝶蛾調査隊派遣[昭和38年(1963)]、東南アジア蝶蛾調査隊(マレーシア)派遣[昭和39年(1964)]、台湾蝶類生態調査隊派遣[昭和40年(1965)]
昭和46年(1971)
創立25周年記念論文集発行
昭和63年(1988)
『蝶類学の最近の進歩』白水隆名誉会長記念論文発行
平成元年(1989)
『日本産蝶類の衰亡と保護 第1集(やどりが特別号)』発行。以降、現在までに第5集発行済。
平成2年(1990)
第1回日本鱗翅学会セミナー「蝶類の保護・・・自然保護の一環として」を大阪市で開催。以降、浦和市・松本市・仙台市・鹿児島市にて平成6年(1994)まで合計5回開催。
平成6年(1994)
日本鱗翅学会50周年国際シンポジウムを大阪府立大学で開催。
平成7年(1995)
自然史学会連合に加盟。
平成8年(1996)
ギフチョウフォーラムを岐阜市長良川国際会議場で開催。
平成11年(1999)
日本鱗翅学会アサギマダラプロジェクト発足。
自然保護委員会による第一回「チョウとガ」フォトコンテスト開催、以来4回にわたって実施。
平成14年(2002)
日本鱗翅学会公式ウェブサイトの公開。
平成17年(2005)
アサギマダラ・プロジェクト・国際シンポジウムの開催。
平成22年(2010)
日本昆虫科学連合発足、本学会も加盟。
平成24年(2012)
東北支部設立総会の開催。
平成30年(2018)
『蝶と蛾』誌の完全電子化を実施。
ウェブサイトのリニューアル公開。

参考リンク

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。