マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

閉じる

日本鱗翅学会

日本鱗翅学会自然保護委員会

日本鱗翅学会自然保護委員会は、環境指標として有用なチョウ・ガ類の推移を見つめながら、科学的知見を蓄積した専門家集団として各種の自然保護活動に取り組んでいます。

特に年次大会にて本委員会主催のシンポジウムや小集会を毎年開催している他、日本におけるチョウ・ガ類の生息状況や実践的な保護活動の事例、都道府県別レッドリストなどをまとめた「日本産チョウ類の衰亡と保護」を第7集まで発行し、日本の生物多様性保全を検討する上での重要な指針を定期的に提示しています。これらのデータは各地での保全活動や環境省レッドリストの改訂にも生かされています。

最近では時代の変化と共に起こる様々な環境問題に対して、国や地方自治体、民間企業等に要望書を提出して、環境保全を促す活動にも寄与しています。

自然保護委員

委員長:
矢後 勝也
副委員長(チョウ類担当):
平井 規央
副委員長(ガ類担当):
神保 宇嗣
会計幹事:
伊藤(紙屋) 勇人
会計補佐:
谷尾 崇

各地区委員会:

(北海道)
委員長: 島谷 光二
委員: 森 一弘・高木 秀了
(東北)
委員長: 工藤 忠
委員: 梅津 一史・三浦 秀明・佐藤 博之・阿部 剛・斎藤 忠雄
(関東)
委員長: 小田 康弘
委員: 松村 行栄・青木 好明・佐々木 泰弘・宇野 彰・高橋 学・蓑原 茂・針谷 毅・渡邊 通人
(信越)
委員長: 福本 匡志
委員: 水野 透・富沢 章
(東海)
委員長: 鈴木 英文
委員: 諏訪 哲夫・岩下 幸平・藤原 騏一郎
(近畿)
委員長: 森地 重博
委員: 南 尊演・木村 富至・小野 克己・平井 規央・近藤 伸一・那須 義次・中上 喜史
(中国)
委員長: 亀山 剛
委員: 三宅 誠治・田村 昭夫・後藤 和夫・山岸 瑞樹
(四国)
委員長: 窪田 聖一
委員: 大西 剛・後藤 昭文
(九州)
委員長: 佐々木 公隆
委員: 玉嶋 勝範・峰 正隆・村田 浩平・古川 雅通・岩崎 郁雄・二町 一成・比嘉 正一

専門委員会:

  • 三草山トラスト委員会 (委員長: 竹内 剛)
  • 草間台地のウスイロヒョウモンモドキ保護特別委員会 (委員長: 三宅 誠治)
  • 歌垣・鴻応山の希少チョウ類保全特別委員会 (委員長: 森地 重博)

日本鱗翅学会自然保護委員会事務局

〒599-8531

堺市中区学園町 1-1

大阪公立大学大学院農学研究科
環境動物昆虫学研究グループ内

平井 規央

TEL:072-254-9413(直通)
FAX:072-254-9694

※ 緊急時以外はお問い合わせフォームからご連絡下さい。

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。