マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

閉じる

日本鱗翅学会

蝶と蛾 72(1)(電子版)発行のお知らせ

2021年4月 4日公開

蝶と蛾 Vol.72 No.1 (電子版)が発行されましたのでお知らせします。閲覧には以下、J-StageのURLにアクセスし、やどりが265に同封されていたログイン名とパスワードを入力してください。

ログイン名とパスワードは、2020年9月から変更となっています。ログイン名とパスワードが分からない場合は、学会事務局にお問い合わせください。

蝶と蛾 Vol.72 No.1

    • Female visits to male territory and mating in two theclini species (Lycaenidae)
    • Michio IMAFUKU
    • ミドリシジミ族2種(シジミチョウ科)における雄の縄張りへの雌の侵入と交配
    • 今福 道夫
    • ページ: 1-5
    • Observation of overnight mating patterns in Vanessa indica (Herbst), Nymphalidae
    • Haruo FUKUDA, Tosiaki INOUE
    • アカタテハの薄暮~翌朝交尾パターンの観察例
    • 福田 晴夫, 井上 寿昭
    • ページ: 7-10
    • Assara seminivalis (Turner) (Lepidoptera, Pyralidae) newly recorded from Japan, with biological notes on it
    • Yohei OSADA, Hiroshi YAMANAKA, Hiraku YOSHITAKE
    • サキシマスオウノキマダラメイガ(新称)(メイガ科)の日本からの初記録,および生態的知見
    • 長田 庸平, 山中 浩, 吉武 啓
    • ページ: 11-15

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。