マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

公開シンポジウム「インセクトワールド -多様な昆虫の世界-」

2019年6月16日公開

公開シンポジウム「インセクトワールド -多様な昆虫の世界-」の概要

プログラム

13:00 日本学術会議農学委員会応用昆虫学分科会活動報告
小野 正人 (日本学術会議連携会員・玉川大学学術研究所)
13:20 日本昆虫科学連合活動報告
伴戸 久徳 (日本昆虫科学連合代表・北海道大学大学院農学研究院)
講演 (座長) 辻 和希 (日本学術会議連携会員・琉球大学農学部亜熱帯農林環境科学科)
13:35 「非社会性昆虫コメツキモドキと菌の栽培共生」
土岐 和多瑠 (名古屋大学大学院生命農学研究科)
14:05 「ユスリカの世界」
平林 公男 (信州大学学術研究院繊維学系)
14:35 「加工食品で発育するノシメマダラメイガ」
宮ノ下 明大 (国立研究開発法人農研機構食品安全研究領域)
15:05-15:20 (休憩)
15:20 「シロアリにおけるオスのいない社会の進化」
矢代 敏久 (国立研究開発法人農研機構九州沖縄農業研究センター)
15:50 「昆虫社会の化学感覚と好き嫌い」
尾崎 まみこ (神戸大学大学院理学研究科)
16:20 総合討論 (座長) 辻 和希
16:45 閉会

伊藤 雅信 (日本昆虫科学連合事務局)

日本鱗翅学会

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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。