マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

会誌「蝶と蛾」69巻(1・2・3/4号)冊子体の販売について

2019年1月11日公開

本誌は2018年1月より従来の冊子体を廃止して、J-Stage(科学技術情報発信・流通総合システム)上での電子出版へ無事完全移行しました。しかし、会員ごとの電子媒体(インターネット)利用環境は大きく異なるものと推測され、電子出版の本誌を見る機会が自由にならない会員もいるかもしれません。そこで、有償ではありますが、すでに電子出版されている本誌69巻1・2・3/4号 (2018年発行分)をまとめてオンデマンド印刷して、お届けするサービスを実施することにしました。

費用は4,000円(実費送料込、会員価格)とし、下記振込口座へのお振り込みをもって申込みといたします。

  • 郵便振替口座 01030-2-15914 (加入者名:日本鱗翅学会)

申込期間は、2019年1月1日~2019年3月31日までとし、4月以降発送の予定です。振込用紙には必ず「蝶と蛾69巻 合本希望」とお書きのうえ、会員番号、郵便番号、住所、氏名もご記入ください。

2019年3月31日以降の購入希望については、残部があれば販売いたしますが、売り切れの際はご了承ください。

「蝶と蛾」編集委員会

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