マエアカスカシノメイガ Palpita nigropunctalis
(ツトガ科ヒゲナガノメイガ亜科)

夏の暑さが過ぎ、本格的な秋の訪れを感じはじめる9月の早朝に、アベリアの花を訪れたマエアカスカシノメイガを見つけた。

半透明の白い翅と橙色の差し色が美しいガで、早春のまだ寒い時期から灯火やコンビニの灯りに成虫が集まる。幼虫が公園の生け垣や人家に植栽されるネズミモチやライラック、オリーブなど様々なモクセイ科植物を餌としているため、都市から山間部まで広い地域で成虫を目にする。

本種の成虫は真冬以外いつでも見られるような気がするのだが、実は複雑な生活史を持っており、成虫が見られる時期は意外に限られている。幼虫が暑さにも寒さにも弱いのか、あるいは春と秋だけ餌の状態がよいのか、幼虫の生育に適さない時期を休眠してやり過ごすようだ。夏は成虫で、冬は蛹でそれぞれ休眠するらしい(Gotoh et al. 2011, 後藤 2012)。

撮影データ: 2022年9月23日 鳥取県鳥取市
撮影・文章: 中 秀司

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日本鱗翅学会

第6回構造色シンポジウム

2005年10月22日公開

※終了しました。

日時
2005年10月22日(土)12:50-19:00
場所
大阪大学吹田キャンパス・大阪大学大学院生命機能研究科・ナノバイオロジー棟3階Fセミナー室 (大阪モノレール阪大病院前下車徒歩3分)
主催
構造色研究会
共催
兵庫県立人と自然の博物館・日本鱗翅学会
参加費
無料 ※一般の方の参加も同様です

プログラム

12:50-13:00 開会のあいさつ
第1部 シンポジウム「蝶の翅はなぜ美しいのだろう-鱗粉構造とパターンと行動と」
13:00-14:00「Nanotechnology at room temperature: structure and some words on possible formation of butterfly scales」/Helen Ghiradella(NewYork州立大学Albany校)
14:00-14:40「チョウの色覚と複眼構造/蟻川謙太郎(横浜市立大学)
14:40-15:00「アカタテハ属の色彩パターン修飾と種分化」/大瀧丈二 (神奈川大学)
15:00-15:20「蝶の翅のパターン:ストライプ模様をはっきり見せる工夫」/吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)
15:20-15:40 coffee break
第2部 一般講演
15:40-16:00「モルフォ再現基板実用化への道-3原色と大量生産-」/齋藤 彰(阪大・理研)、平井義彦(大阪府立大学)
16:00-16:20「モルフォチョウ構造色についての結晶解析学的研究」/神戸亮A、近藤泰洋B、梶谷剛B、宮嵜博司B、木下修一A(阪大・生命機能A、東北大・工B)
16:20-16:40「構造色の構成と変化について~タマムシの翅はわかった?~」/足立栄希(日本ロレアル(株))
16:40-17:00「環形動物の構造色 -ミミズ、ゴカイ、ヒルの表皮構造の比較-」/小作明則、宮本 潔(獨協医大・医総研)
17:00-17:20「コロイド結晶薄膜の形成過程のその場観察」/石井 昌彦、原田雅史、中村 浩((株)豊田中央研究所)
第3部 ポスターセッション、展示、懇親会(17:30-19:00 ナノバイオロジー棟1Fフロア)
「光コヒーレンス断層法(OCT)による蝶の翅の形成過程のその場観察」/神戸亮、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延、上田悦弘、近江雅人、春名正光(阪大・医)
「真珠とホワイトパール・・・パール顔料の歴史」/中畑顯雅、長野千尋(関西ペイント(株))
「身近で多様な構造色の世界:クモ」/荒川真子、神戸亮、吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延(阪大・医)
「身近で多様な構造色の世界:ハト」/中村衣利、神戸亮、吉岡伸也、木下修一(阪大・生命機能)、伴 忠延(阪大・医)
「中南米産プラチナコガネの発色構造」/星 元規(筑波大学)、小作 明則、宮本 潔(獨協医科大学)
標本展示~構造色を持つ昆虫達/八木 剛(兵庫県立人と自然の博物館)

日本鱗翅学会

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アクア白山ビル5F
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鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。