カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas
(シジミチョウ科)

日本では、青森県の北端部と北海道のみに分布する稀なシジミチョウ。クサフジを食餌植物とする集団とヒロハノクサフジを食餌植物とする集団とに2分される。特に後者は道南と青森県の限られた地域に見られ、その生息地は海岸部の断崖付近に限定される。

本種の生活史はクサフジとヒロハノクサフジの花に依存しているが、ヒロハノクサフジはクサフジより遥かに花期が長く、そのためヒロハノクサフジを利用する道南・青森県の集団では羽化時期が長期にわたる。例えば青森県の津軽半島では5月下旬から8月まで新鮮な成虫が見られ、年1化でありながら成虫出現期が極めて長い。

このように羽化が斉一でない事情が影響してか、津軽半島の生息地で一度に見られる個体数は少ない。日差しを遮るものがない炎天の海岸で、しかも足場の悪い断崖近くを活発に飛んで落ち着かず、撮影には難儀させられる。

撮影データ: 2013年8月7日 青森県津軽半島
撮影・文章: 工藤 誠也

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日本鱗翅学会

東京大学総合研究博物館モバイルミュージアム特別展「蝉類博物館」のお知らせ

2015年9月30日公開

※終了しました。

東京大学総合研究博物館モバイルミュージアム特別展「蝉類博物館」(日本鱗翅学会後援)が開催されますのでお知らせします。

案内ちらし

東京大学総合研究博物館モバイルミュージアム特別展(練馬区立石神井公園ふるさと文化館 平成27年度第1回特別展)「蝉類博物館」─昆虫黄金期を築いた天才・加藤正世博士の世界

会場
練馬区立石神井公園ふるさと文化館
〒177-0041
東京都練馬区石神井町5丁目12番16号
TEL 03-3996-4060
展示期間
2015年10月1日(木)~11月29日(日)9:00~18:00
休館日
月曜日(ただし10月12日(月・祝)11月23日(月・祝)は開館、翌10月13日(火)11月24日(火)は休館)

展示概要

大正から昭和初期にかけて活躍した加藤正世博士(1898~1967年)は、石神井公園に隣接した自宅に加藤昆虫研究所と併設した「蝉類博物館」を開館し、展示を通じた昆虫学の普及とともに、新種・新亜種を含む多くの論文や著書を世に輩出した稀代の昆虫学者です。趣味の昆虫採集を通じた普及活動にも力を注ぎ、たくさんの少年・青年たちに影響を与え、社会現象にもなった昭和初期の昆虫黄金時代を築き上げた主要な人物でもあります。

加藤博士の死後、標本・資料等のコレクションは、長年のご遺族による管理を経て、現在では東京大学総合研究博物館にて大切に保管されています。「蝉類博物館」の閉館以降、これらのコレクションの大々的な展示は成されていませんでしたが、かつて「蝉類博物館」が立地していた石神井の地で、本モバイルミュージアム展として実現しました。

今回の展示では、加藤博士の約5万点の昆虫コレクションから選りすぐりの標本・資料を多数出展しています。セミ、ツノゼミはもちろんのこと、チョウ、ガ、トンボ、クワガタ、コガネムシ、ハチ、アブ、アリ、バッタ、ナナフシ、カメムシ、ガロアムシのような主だった昆虫をはじめ、両生・爬虫類、鳥、クモ、セミタケなど、様々な生き物の標本も見られます。その多くは戦前から戦後にかけての東京近郊で採集されたもので、当時の関東平野の生物相を知る上でも重要な資料となります。また、クマゼミやエゾゼミのホロタイプ標本(新種、新亜種の学名の基準となる標本)は、本展の目玉ともいえる貴重な標本です。その他に加藤博士が残した器具・機材、直筆の描画・資料、著書、虫玩具、写真なども必見です。

これらのコレクションは、東京大学総合研究博物館ならではの展示デザインと映像技術により、一層引き立てられた演出がなされています。まるで加藤博士の時代に舞い戻ったかのような、大正~昭和初期のレトロ調な雰囲気を、再び甦った「蝉類博物館」の標本・資料の中に覚えながら、昆虫学の研究と教育・普及の両面に尽力した加藤博士の世界を体感いただけると幸いです。

主催
東京大学総合研究博物館、練馬区立石神井公園ふるさと文化館(指定管理者 公益財団法人 練馬区文化振興協会)
後援
日本昆虫学会、日本半翅類学会、日本鱗翅学会、日本セミの会
協賛
新日鉄興和不動産株式会社
観覧料
一般300円(200円)/高校・大学生200円(100円)/65歳~74歳150円/中学生以下・75歳以上無料

交通案内

西武池袋線「石神井公園駅」下車 徒歩15分 または 西武バス(荻14)JA東京あおばバス停下車 徒歩5分

練馬区立石神井公園ふるさと文化館

講演会

会場
練馬区立石神井公園ふるさと文化館 多目的会議室
(1)10月11日(日)14:00~15:30「 日本の昆虫文化を築いた加藤正世博士のコレクション」
講師:矢後勝也(東京大学総合研究博物館助教)
(2)10月18日(日)14:00~15:30「 加藤正世と日本の昆虫学」
講師:大野正男(東洋大学名誉教授)
(3)11月7日(土)14:00~15:30「 加藤正世が眺めたカメムシ 昔の東京に想いを馳せる」
講師:石川 忠(東京農業大学助教)
(4)11月15日(日)14:00~15:30「 地図に見る蝉類博物館周辺の今昔」
講師:須田孫七(東京大学総合研究博物館研究事業協力者)
(5)11月22日(日)14:00~15:30「 加藤正世博士が命名した日本のセミ」
講師:林 正美(埼玉大学名誉教授・東京農業大学客員教授)
定員
各100名
参加費
無料
申込方法
9月21日(月・祝)より電話申込受付 03-3996-4060 定員になり次第受付終了

日本鱗翅学会

〒113-0001
東京都文京区白山 1-13-7
アクア白山ビル5F
勝美印刷株式会社内 日本鱗翅学会事務局
※ お問い合わせフォームより御連絡下さい。

鱗翅(りんし)というのは鱗翅目(チョウ目)Lepidopteraのことで、鱗粉のある翅を持った昆虫すなわちチョウやガの仲間です。この小さな生き物はその素晴しい魅力で古い時代から私たちをひきつけてきました。日本鱗翅学会はこのチョウやガを研究対象とする学術団体で、アマチュアから専門家まで幅広い層のメンバーが協力しながら活動しており、興味のある人は誰でも入会できる開かれた学会です。